第十五話:草食動物と殺人鬼
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。その分貧乏くじを引いている印象も受けているので羨ましくはないが。
「私が助けた?」
「そうですよ、ラシャさんには二回助けてもらってるんですよ?」
ニコニコと笑顔を浮かべる山田先生。ラシャはふと頭を捻るが、脳裏に浮かぶ光景は何もない。
「ですので、ラシャさんが何か困ったことがあったら私が力になりますね!!」
向日葵を髣髴とさせる笑顔で胸を張る山田先生とは裏腹に、こんなに出来ている人間なのに浮いた話の一つや二つも噂で聞こえないのはIS学園の七不思議に加えられてもおかしくないのではないか。と、ラシャはしょうもないことを考えていた。
IS学園に帰還したラシャは上層部に提出する報告書を簡単に書き上げて本日の業務を終了させると、学園内をのんびりと散歩していた。明日は休みである事もあり、如何にして有意義な時間を過ごそうか思案していたのである。偶には小旅行でもしてみようかと茫漠としたプランを脳内に書き散らしていると、書類の束を重そうに運んでいる山田先生と鉢合わせした。
「おっと、こんばんは。宜しければ半分持ちますよ?」
「ふえぇっ!?だ、だだだ大丈夫ですよぅ!?」
唐突なエンカウントによって動揺の極みにある彼女をどうにか落ち着かせたラシャは、どうせ暇だからという理由で彼女の書類運びを半ば強引に手伝った。どうあがいてもプランがまとまらない現状の打開の為の気分転換を欲していたラシャにとっては渡りに船であった。
「(学園の教職員の手伝いをしつつ、気分転換を行う。何時もこれくらい手際が良くて余裕があればなぁ…)」
「あ、あの!!ラシャさん!」
「!」
と、自らの「本業」に対する不甲斐なさを痛感していたラシャは、山田先生の呼びかけによって我に返った。
「な、ナンデスカ?」
思わず片言になってしまったラシャのぎこちない表情に対して、山田先生は意を決したような。それこそこれから清水の舞台から今まさに飛び降りんが如き決死の表情で口を開いた。
「今週末、お付き合いして頂けませんか!?」
「……ほぃ?」
思いもよらぬお誘いの提案に、ラシャは間抜けな返答しかできなかった。
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