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鉄仮面
第五章
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「手紙の件もあるしね」
「死んだら証拠は徹底的に消されたらしいし」
「家具も何もかも」
「部屋の壁も調べてね」
 書き残しがないかまで調べられたという。
「痕跡が消えて」
「後には何もなくて」
「ルイ十五世は正体知ってたらしいけれど」
「ルイ十六世の頃は誰か書いた秘密文書もなくなっていたらしいし」
 だからルイ十六世も知らなかったのだ、
「マリー=アントワネットは知りたがっていたみたいだけれど」
「結局あの国王夫妻も知らなかったみたいだしね」
「知っていたのはルイ十五世だけ」
「鉄仮面の生前でも知っていたのは僅かな人達だけだったみたいだし」
 国王であるルイ十四世と僅かな側近中の側近達、そして監獄の責任者だけであったと言われている。本当に僅かな者達だけだった。
「今はもうね」
「誰も知らないわね」
「ダルタニャン物語には出ていても」
 実は三銃士もこの物語の一部だ、かなり長い話で鉄仮面の話はこの物語の終盤に書かれたものだ。尚この作品は登場人物は主人公も含めて殆どが実在人物で三銃士達にしてもモデルになった実在人物達がいる。
「仮説だしね」
「他の人の説も根拠が曖昧って言えば曖昧で」
「今もはっきりしない」
「それが現実なのよね」
「何かこのことといいジェヴォダンの野獣といいルイ十七世といい」
 マルグリトはざっと他の話も出した。
「ブルボン朝関係で我が国って結構謎多いわね」
「謎のままのね」
「どういう訳かね」
「不思議なことにね」
 ジェヴォダンの野獣の正体も不明なままだ、ただ野生の狼ではないだろうというのは犠牲者の殺され方から確かだと言われている。ルイ十六世の嫡子ルイ十七世が本当はどうなったのかも今も尚わかっていない。
「そうした話多いわね」
「考えてみれば不思議な王朝よね」
「どうにも」
「そうね、本当に」
 マルグリットはこのことにはこう言うばかりだった、自国の王朝であったがそれでもだとだ。何故か謎がまつわる王朝だと。
 そしてだ、友人達にこんなことも言った。
「先生になっても博物館の学芸員になっても」
「そういうことを教えられたら」
「面白いっていうのね」
「ええ、運がいいご先祖様のお陰でここに今いるし」
 それならというのだった。
「だったらね」
「是非なのね」
「そうしたことも教えていきたい」
「我が国の謎のことも」
「謎のままでもね、どれも明らかになるには相当に難しいだろうけれど」
 鉄仮面も野獣もルイ十七世もというのだ。
「教えていきたいわ」
「じゃあその為にもね」
「学んでいかないとね」
「ええ、文字もね」
 先祖の漁師が読めなかった文字もとだ、こう話してだった。マルグリットは学問をしていくことを決意した。将来の為にも。


運のいい
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