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ロリータ=コンプレックス
第三章

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「少なくともロリじゃないことは何度も言うよ」
「そういうことなんだな」
「そうだよ」
 本当にはっきりと言った寛騎だった、とにかく彼はそうした趣味はないと自分でわかっていた。そしてこのことは変わらないと思っていた。
 だがその彼もだ、大学に入って就職してだった。三十になった頃にだ。直属の上司である勤務先の八条スーパー茨木店の山田洋介課長からこう言われた。
「君もそろそろ結婚をね」
「したらどうか、ですか」
「どうだい?」
 こう言うのだった。
「月並みで今頃こんなこと言ったらお節介になるが」
「相手いないですから」
 寛騎はこう店長に返した。
「ですから」
「相手がかい」
「はい、いないです」
 はっきりと言った、高校時代と同じく。
「残念ながら」
「そうなのか」
「ですから」
「結婚はか」
「まだ本当に」 
 それこそというのだ。
「考えていません」
「そうなのか」
「どうにも」
「しかしな」
「結婚は、ですね」
「何だかんだでした方がいい」
「身を固めろ、ですか」
 寛騎は店長に言った。
「つまりは」
「古い言葉だがな」
「家を持ってちゃんとしたものを作ってもらって子供ももうけて」
「育ててな」
「それがいいんですね」
「ずっと一人でいるよりはな」
 店長はこの考えを話した。
「ちゃんとした奥さんを貰ってな」
「ちゃんとした」
「交際相手でもいい」
 結婚せずとも、というのだ。
「とにかくそうした相手は見付けることだ」
「仕事ばかりじゃなくて」
「趣味はあるな」
「はい、酒とゲームと水泳とカラオケです」
「趣味に加えてな」
 さらにとだ、店長は寛騎にさらに言った。
「そうした人も見付けることだ」
「そうですか」
「そのことも考えてくれ」
「わかりました、まあそうした相手がいてくれたら」
 寛騎も考える顔で言った。
「是非」
「ああ、そうな」
「わかりました」
 寛騎も彼の言葉に頷いた、そしてそのうえでだった。彼もそうした相手のことを見付けようと思った。そう思っているとだ。
 スーパーに新しいバイトの娘が入った、その娘は。
「西山友希です」
 背は一四五センチ程ではっきりとした横に流れた目を持った少女だった、にこにことした童顔で髪型は黒のショートヘアだ。頭の左にあるワッペンがよく似合っている。
 まだ中学生と思われる外見だったが。
「高校一年生です」
 履歴書を見てもそうだった、そして着ている制服もだった。
 茨木の地元の高校の制服だった、それで寛騎もパートの人達に彼女のことを話した。
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