第四章
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「最悪だ」
「それこそ」
「だからな、あの女が何者か突き止めて」
「後はですね」
「そうだ、おかしなことをしそうなものなら」
それこそというのだ。
「取り押さえるぞ」
「わかりました」
「その時は頼むぞ」
ボレロはブリゲーニュに強い声で言った。
「君のプロレス技に期待している」
「それでは」
ブリゲーニュはボレロに真剣な顔で答えた、そうしてだった。
二人も他の美術館員、ガードマンはおろか掃除夫達に至るまでだ。女を探しそしてその正体を突き止めようと躍起になって美術館の中を巡った。そして。
その中でだ、彼等はあるものを発見した。それは。
「おい、これは」
「すぐに警察か軍隊に連絡しないとな」
「美術品は安全な場所に」
「入館者には退去だ」
美術館員達は蒼白になって言い切った、何と美術館の隅に爆発物があったのだ。彼等は最初それは何かと思ったがよく見るとそれだったのだ。
彼等はすぐに警察や軍隊の爆発処理班を呼んだ、そして美術品を急いで安全な場所に移し入館者を避難させた。そうしてだった。
警察と軍隊が協同して爆発物を処理した、幸い爆発物の起動の仕組み自体は稚拙で容易に解除出来た。だが。
このことを受けてだ、彼等は口々に話した。
「対にだな」
「ルーブルまでテロか」
「やるかもって思っていたが」
「やる奴は本当に何でもするな」
「美術品に無関係な入館者まで狙うか」
「つくづくとんでもないな」
「何て奴等だ」
こう口々に言うのだった、このことは世界的な話題になった。何しろルーブルでのテロ騒動であったからだ。
「危ないところだったな」
「ルーブルが爆破されていたら」
「モナ=リザとかどうなっていたんだ」
「あそこには色々あるのに」
「その美術品が爆破されたら大変だったぞ」
「人類の文化の損失だった」
そうなっていたというのだ。
「いや、本当にな」
「大変なことになるところだった」
「それが危ういところでな」
「助かった」
「よかったよ」
世界の誰もが胸を撫で下ろした、そして以後ルーブルのテロに対する対策はこれまで以上に強いものとなり入館者、退館者のチェックも厳しくなった。当然館内のチェックもさらに徹底されこのことは世界の美術館にも及んだ。
そしてだ、この時からだった。
何故かルーブルに出ていた女の目撃例は消えた、それでだった。
ボレロは休憩の時スタッフ用の喫茶店の中でだ、コーヒーを飲みながら共にいるブリゲーニュに対して言った。
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