第22話(改2.0)<艦娘と変化>
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積んだ陸軍の車が産業道路を何台も移動してました」
そして獲物を見つけたような顔になった。
「これはニュースになりますね!」
首を傾けながら悪戯っぽく笑う彼女。この好奇心の強さは鎮守府一番だろう。
「あ」
急に反応する青葉さん。何かを受信したらしい。
「司令、秘書艦より『作戦司令部までお越し下さい』との伝言をお預かりしました」
「分かった」
心地よい潮風を浴びながら敬礼した私は彼女と分かれて作戦司令部へと向かった。
「お待ちして居りました」
部屋に入ると秘書艦が待機していた。お互いに軽く敬礼をしてから私は椅子に腰掛けた。
彼女は手にした暗号解読文を見ながら報告する。
「艦隊司令部から今夜20:00より全軍、臨戦態勢をとるようにとの電文が着ています」
「なるほど」
続けて別の書類を見た祥高さんは言った。
「一方の電報では美保空軍基地へ、陸攻の着陸時間を伝える内容が、着たきりです」
「陸攻?」
壁際の通信機前には駆逐艦の寛代が居た。先ほどから盛んに何かを受信している。その隣には当直明けの大淀さん。何かを書き留めている。
(まだ粘っていたのか)
そんな彼女も振り返った。
「今朝は空軍からも高尾電探施設の情報が逐一、提供されてます」
「空軍から?」
意外な展開に思わず声が出た。
「こりゃ、きっと明日は雪だぞ」
私の言葉に、場の艦娘たちも頷いた。
改めて祥高さんが確認する。
「司令、今夜20:00から全軍『臨戦待機』ということで各班に通達して宜しいでしょうか?」
「そうしてくれ」
『はい』
秘書艦と大淀さんが敬礼した。
(上の連中は何か敵の情報を掴んでいるのか?)
よく分からないが一連の動きは尋常じゃない。
この雰囲気を察したのか待機中の各班から自主訓練の許可申請が次々と入る。ほどなく鎮守府上空では艦娘たちの訓練機が盛んに飛び始めた。
(訓練する艦娘は頼もしいな)
訓練の慌ただしさは嫌いじゃない。私も防人の血が騒ぐのだ。
父は空軍の操縦士だった。息子である私も志を同じくする軍人だから。
艦娘と私は一致団結して敵に立ち向かうのだ。
「同じ仲間か」
このとき私は急に、着任以来ずっと肩肘張っていたことを感じた。
(無理に構えることもない)
そう思うと気持ちが軽くなった。
青葉さんと話したのも良かったのだろう。
私の小さな変化を察知したのか寛代が大きな瞳で、こちらを見ていた。
ちょっと焦った。
(この艦娘も、ときどき私の心を見透かすように、こっちを見る)
その黒髪には窓からの光が反射していた。
(初めて出会った時より、いくらか表情が明るくなったな)
緩やかに腕を
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