第三章
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彼は帰国した。そのうえでだ。
祖国で待っていたコズイレフにあるものを渡した。それはというと。
「これか」
「そうだ。これだ」
「この標本がどうしたのだ」
コズイレフは怪訝な顔になりアルチェンコに問い返した。
「私は蝶は好きだがな」
「標本採集の趣味はないか」
「そうだ。ない」
こう答えるコズイレフだった。
「気持ちだけ受け取っておきたい。それにだ」
「それにか」
「これがその軍事機密か」
「戦闘機のな」
アルチェンコははっきりと答えた。
「そうなのだ」
「いや、とてもそうは思えないが」
「標本採集全てが機密になっている?」
「?というと」
「そうだ。暗号だ」
スパイ活動においては常に使われるそれだというのだ。
「この標本全てがな」
「一体どういう暗号なのだ」
「これを見てくれ」
アルチェンコは今度は図鑑の中の一冊を出してきた。それをコズイレフに手渡してそのうえで言うのだった。
「これをな」
「今度は図鑑か」
「全部蝶だ。その蝶の番号に秘密がある」
「というと」
「我が国の文字の順番とその図鑑の蝶の番号を見てくれ」
アルチェンコはその秘密を話した。
「それから標本採集をだ」
「?まさか」
「読むのは左上からだ。右端についたらそのまま一段下に下って呼んで左端まで読んでまた一段下って右端まで読んでまた一段下る」
そうして読んでいけというのだ。
「順番にな」
「そういえば蝶の種類もな」
一見すると多い。だが全ての標本採集を見てみると特定の種類だった。種類の数は彼等の国の文字の数だけだ。
それに気付いて標本採集を見ていくとだ。コズイレフもわかったのである。
「そういうことか
「わかってくれたな」
「ああ、よくな」
コズイレフはここでようやく微笑んでアルチェンコの言葉に頷いた。
「そういうことだな」
「そうだ。つまりはな」
「よくわかった。そうなのか」
「正直考えた」
アルチェンコは会心の笑みでコズイレフに述べる。
「軍事機密を手に入れてもどうして隠すかな」
「そしてどう伝えるか、か」
「それでこうしてみた。蝶を使ってみた」
「標本採集と図鑑でか」
「苦労した介はある。上手くいった」
アルチェンコはその会心の笑みで語る。
「本当にな。それではな」
「この軍事機密を研究してだな」
「我が国に役立てよう」
「愛する祖国の為に」
二人で言っていく彼等だった。アルチェンコは蝶を使って軍事機密を祖国にもたらした。何を使って隠しているかはそう容易にはわからないことだ。特にスパイの世界においては。
隠し場所
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