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レーヴァティン
第二話 異世界その六

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「そうした場所に行くにしてはな」
「はい、武器がですね」
「まさか素手で行けというのか」
「俺達剣術は出来ますが素手じゃ戦えないです」
 久志は軽く笑ってだ、神父に述べた。
「ですから」
「はい、武器をですね」
「何かありますか」
「そう言われると思っていました」
 神父は二人に穏やかな笑顔で応えた。
「普通の剣や刀でしたらありますが」
「よかったらその剣や刀を」
「借りたい、いいか」
「借りたいなぞとんでもない」
 神父は二人に笑ってだ、言葉を返した。
「遠慮なく持って行って下さい」
「そうしていいんですか?」
「遠慮なくか」
「剣と刀が一振りずつありますが」
「まさか誰も使う人がいない」
「そうなのか」
「余っているものです」
 だからだというのだ。
「遠慮なく持って行って下さい」
「そこまで言われるなら」
「ごく普通の刀や剣です」
 神父は二人にこうも話した。
「錆びてもおらず刃こぼれもありませんが」
「ごく普通の、ですか」
「特に業物もない武器屋で売られている様な」
 それこそというのだ。
「普通の鉄の剣や刀です」
「銅とかじゃないんですね」
「はい、鉄です」
「それならいけます」
 久志は彼がこれまでしてきたゲームの知識から神父に応えた。
「銅と鉄では全然違いますからね」
「この村は比較的豊かで鉄のものも普通に使えていまして」
「だからか」
「はい、鉄の武器もです」
「あるんですね」
「普通に」
「それは有り難いですね」
 久志はこのことは幸運だと思った、実際に鉄と銅では硬度等が全く違うからだ。言うまでもなく鉄の武器の方がいい。
「俺は運がいいですよ」
「同意だ」
 英雄も久志と同じ意見だった、しかし顔は笑っていない。相変わらず硬質のものである。
「なら使わせてもらう」
「そういうことで」
「では見せてもらうか」
 英雄は神父にさらに言った。
「その刀も剣もな」
「そちらも持って来ますので」
「頼む」
 こうしてだ、神父は地図に続いて刀と剣も持って来た。刀は西洋のものではなく日本のもの即ち日本刀で剣は西洋のごく普通の大きさの剣だった。
 まずは英雄がだ、日本刀を見て言った。
「俺はこれがいい」
「やっぱり御前はそっちか」
「剣道をしているからな」 
 だからだというのだ。
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