第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#50
FAREWELL CAUSATION]〜Made in Inferno〜
[7/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
つ異能に手甲で覆われた両手を振る少女、
巨大な暗黒樹は傲然と聳える背景には些かシュールな光景、
にも関わらずその主体は彼女に在った。
「瞬間移動? アノ時、存在力の収斂も開放も一瞬で行ったわよね?
移動に生じる反動や風圧も感じられなかった。
なら何かの 『能力』 としか」
曖昧な論拠で問われる推測にスタンドがゆっくりと頷く。
スタンド法則では特段珍しくない事、
能力発動の際、それを妨げる公然はその対象物に限り除外される。
直近の例で云えばホルホースの 『皇 帝』
ジョンガリ・Aの 『マンハッタン・トランファー』 等も
スタンドを経由した後は風向きや空気抵抗等の影響を受けない。
そうでなければシャナの甲冑はともかく吉田の衣服は
摩擦熱で燃え尽きているだろう、無論本体も無事では済まない。
如何にスピードの在るスタンドでも、
生命の原理上いきなりMAXに達するコトは難しく
それはフレイムヘイズも同じ。
先刻シャナも回避行動を執ろうと試みたが
吉田を抱えての状態では直撃は兎も角
その 「余波」 までも躱せたかどうかは疑問の残る処。
そして真王と虫螻の格差からすればそれで充分、
即死、絶命、何れを避け得ても
四半身が身切れ再起不能になっていた公算が高い。
何より時空の裂け目の露面が悪く、
“向こう側の自分” と眼が合ったりでもしていたら、
魂諸共バラバラに吹き飛んでいた可能性すら在るのだ。
故に少女の機転は称賛に価、最初の大斬乱舞の時点で既に、
いつでも急速離脱出来るよう秒 読 みの光球を
足元に複数設置して於いたのだ、シャナの批難に反駁しながらも。
しかし故に負った精神的ダメージは重篤、
底の視えない闇孔はそのまま自分がソレを喰らった結果。
アノ光砲と真正面から対峙したに等しい。
年端もいかない生身の少女が、当然心は戦闘不能にまで圧し折れる。
莫迦は死ぬまで誰かが助けてくれると無根拠に盲信するものだが、
『男』 で在るなら恥ずべき事であろう、
ここまで彼女に “させてしまったコト” を。
「……」
それは傍らに立つ少女も同じであった。
戦場で落涙する者など論外である筈だがソレに救われた。
それより惰弱で唾棄すべきだった少女が目の前で泣いている事に対して、
何故か、無性に――
「許してね」
一度スタンドに許可を取った後、返事を待たずに(というか喋れないのだが)
甲冑で少女の躰を包んだ。
「……!」
渦巻く破滅を背景に交感される慈愛の光景、
あの時のように、更にアノ時のように。
どうすれば震える者の肩を止めてやれるのか、
どうすれば怯える者の涙を止めてやれるのか、
それはきっと、戦い以上に大切で、使命
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ