第21話(改2.0)<白い傷>
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っぱり追及されましたか」
一瞬、筆を止めた青葉さんは言う。
「そうだな」
現場に復帰した舞鶴の提督や他の作戦参謀からは叱責された。もちろん通常の艦船が沈めば被害は大きい。
だが相手が艦娘となると後味が悪い。負け戦(いくさ)でも果敢に立ち向かう彼女たち。交戦し傷つき沈んでいく艦娘の叫び声は思い出したくない。
「いっそのこと解任処分された方が楽だったよ」
「……」
青葉さんは複雑な顔をして何かに引っ掛かった顔をした。
「つまり司令の処分は無しで?」
「そういう事だ」
その苦い経験で私は決意した。
(もう二度と艦隊指揮はすまい)
一時は軍人を辞めようとまで思った。
「ええ?」
さすがの彼女も、素っ頓狂な声を出した。
でも、いざ私が退官を切り出すと
「そこまで思いつめるな。誰もが通過する道だ」
「相手が強過ぎた。仕方がない」
と説得された。
「まぁ、慢性的な人手不足ですから」
青葉さんは言う。
結局、辞めることは踏み留まった。
それでも以後の私は艦娘絡みの作戦からは意図的に距離を置いた。命令も固辞したかったが軍隊に居る以上、上官の意向は絶対だ。
また軍隊で自分が生き残っている以上、戦歴も刻まる。結果的に艦娘の指揮を執ることは避けられなかった。
ただ艦娘の指揮については、どんな陰口を叩かれても無理な特攻はさせない。引き気味に指揮を執った。
「迂回や救援部隊」
呟いた彼女は、この辺りの事情は知っているようだ。
個人的に上から嫌われて評価が下がり左遷されても別に良いと思っていた。罪滅ぼし的に「舞鶴沖海戦」以後の私は一隻も艦娘を沈めてはいない。無理な進軍もさせない。それが果たして良いのか悪いのか?
「現場の指揮官としては、これはご法度だろ?」
「いえいえ」
だが、上も気づく。監査の際に担当官から何度も問われた。
「君はそれで良いと思うのか?」
「はい」
「……」
私が即答したときの監察官の顔は忘れられない。彼は書類をめくりながら呟いた。
「まあ君の戦果はともかく轟沈率が低いからなあ」
このとき悟った。指揮官は自分の信念で立案・遂行し兵士が忠実に動けば結果(評価)は出るのだと。
青葉さんも頷いている。
だが『強行派』から私への風当たりは強まった。ある会議でも強気の提督や参謀に言われた。
「燃料のムダ遣いだ」
「時間の浪費だ」
「さすがに直接言われると凹んだな」
「でしょうね」
会議なんか途中で逃げ出してやろうかと思ったくらいだ。
だが捨てる神あらば……だ。私のその姿を見ていたらしい『穏健派』の参謀数名からも声を掛けられた。
「轟沈寸前の赤城を助けたって言うのは本当ですか?」
「はい」
「なる
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