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殺人鬼inIS学園
第十四話:転校生と殺人鬼4
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所。デュノア社本社にて。

 デュノア社社長ギデオン・デュノアは呆然とニュースを見ていた。そこには、IS学園に送ったはずの「息子」が堂々と自社を糾弾していく様だった。慌てて端末を確認すると案の定、デュノア社の株価は急転直下の大暴落を始めていた。

「な、何故だシャルロット!?親を裏切るつもりか!?」

 この身ひとつで立ち上げ、時代の流れに乗りつつ順調に業績を上げてきたデュノア社。だが、それがたった一人の小娘によって修復不可能な大打撃を受けてしまっていた。
 ビルの周囲には、年端もいかぬ娘を虐待の果てに、利用しようとした事を始めとしたデュノア社の悪行に憤慨した市民が押し寄せてきていた。女尊男卑の世の中に辟易している人種の怒りが遂に爆発したのだ。自社のIS部隊達が鎮圧を開始しているが、なにぶん数が少ないので徐々に突破されつつあった。

「このままで終われるか!!このままでっ!!」

 ギデオンは隠し金庫を開けると、大事にしまっていたプリペイド携帯電話を取り出し、或る番号にかけ始めた。妻であるジャサント・デュノアはとうの昔に音信不通状態になっており、捨てられたギデオンにとって残された最後の手段である。たった数コールだが、彼にとっては数年とも錯覚できる時間の果てに、目当ての人物は受話器を取ったみたいだ。ギデオンの胸中に安堵の感情が広がる。

「ミス・ミューゼル!私だ、デュノアだ。こうなれば我々の失脚は確実だ!これから我々は貴公らの傘下に合流する。合流ポイントを……」

 しかし、受話器の向こうから聞こえてきたのは苛立ちと殺意に満ち満ちた声色だった。

「ギデオン、あなた達は悪手を打ち過ぎました。我々が愛想を尽かすのに充分な程のね」

「な、何を……我々は貴公らに多額の資金援助をあれだけ行ってきたではありませんか!!」

「それを帳消しにして余りある事態を引き起こしたのよ、あなた達は。これでフランス政府にも捜査が入って我々の子飼いに被害が及ぶのは明白……あなた達には今更居場所なんかなくってよ」

言われるだけ言われるとブツリと通話は切られてしまった。ギデオンは怒りと絶望のあまり携帯電話を床に叩きつけた。

「畜生!なんということだ!!シャルロットめぇ……」

 その時、社長室の扉が開け放たれ、一人の青年が入室してきた。編田羅赦である。彼は堂々と表玄関から侵入し、社長室に入ってきたのだ。

「こんにちは、社長さん」

 突然の乱入者にギデオンの表情は焦燥に染まる。

「き、貴様、何者だ!?警備は何をしている!?」

「そう言うな、彼らはクソ真面目に業務に従事した。何せ私が『最期まで』その勇姿を見届けたのだからな」

 ラシャの笑顔から禍々しい殺気が傷から滲み出る血のように部屋を満たし始めた。

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