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殺人鬼inIS学園
第十四話:転校生と殺人鬼4
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女尊男卑主義者を始めとした急進派ですね」

 ラシャの目に呆れの色が浮かんだ。

「また女尊男卑派ですか……奴らも暇なんですかね?」

「大方暇なんでしょう。だからこうして織斑一夏を排除できるスキャンダルを求めているのでしょう。シャルロット・デュノアへの取り調べの結果、連中は織斑君の暗殺や遺伝子情報の採集による退学処置を目論んでいたようです」

「15の子供にそんなことをやらせようとしていたんですか?EU圏は大掃除が必要なのではないのですか?」

「それについては同感ですね。そこで、貴方に依頼するのはデュノア社に対する報復措置と今回の一件を幇助した連中の排除をよろしくお願いいたします」

 十蔵から渡されたリストを受け取ったラシャは一通り目を通すと、リストの人数が思ったより少ないことに驚愕したと同時に、IS産業の上層部の腐敗ぶりに閉口した。

「二週間ください。それで全て解決です」

 ラシャは、いつものごとく出張の名目で学園を離れることになった。スーツケースに仕事道具を仕舞い込んで出立の準備を進める中、部屋に千冬が訪ねて来た。

「また出張か?ラシャ……」

 心配そうにラシャを見つめる千冬に、ラシャは力ない笑みを返した。

「仕方ないさ、無駄飯食ってばかりも居られない。それよりまた飲み会を蹴ってしまうことになったなあ、それが心残りだ」

 ラシャは机の上に置いてあるノートパソコンに視線を向ける。恒例の飲み会の通知が一週間前に来たばかりだ。だが、千冬が言いたいことはそうではあるまい。

「ボーデヴィッヒの事は残念だった。あの時何があったかは覚えてないが…気づいたら脚がずたずたになってて学園のスタッフに叩き起こされていた」

「……私はあいつを正しく導いてやれなかった。上っ面の強さしか教えてやれなかった」

 ラシャは千冬に必要なことは活を入れることだと判断し、千冬の両肩に手を置いた。

「悔いるにはもう遅いぞ、何せボーデヴィッヒはもう死んでいる。だから今を生きている生徒のことを考えてやれ」

「ラシャ……そうだな、立ち止まっている時間なんて無いはずだ」

 部屋から出ようとする千冬をラシャは優しく抱き止めた。ラシャの唐突な行動に千冬は顔を真っ赤にして狼狽える。

「なっ!?ななな!?ま、待てラシャ!まだ日も高いしシャワーだって浴びて……」

「君が今も昔も苦しんでいるのは分かるよ、千冬ちゃん。君は変わってない。裸足で一夏を抱えて走り回っていたあの時のままだ。辛くなったら頼りなさい。俺は千冬ちゃんの味方だからな」

 ラシャはゆっくりと千冬の頭を撫でる。千冬の眼前には寒空の中手を差し伸べてくれた一人の男が変わらぬ笑顔を浮かべていた。




忘年某月某日、フランス某
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