第十四話:転校生と殺人鬼4
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たら偶然……」
「そうか」
ラシャはシャルルの方に向き合うと、一夏のベッドに腰掛けて向き合った。
「取り敢えずお前を拘束させてもらう」
ラシャの言葉に、一夏の眼の色が憤怒一色に変わった。
「何でだよラシャ兄!!シャルルを助けてやれないのかよ!?俺や千冬姉みたいにさあ!!」
「もう良いんだ一夏。僕は僕でもう疲れちゃったから…デュノア社は他社の傘下に入って、僕は強制送還でオチが付くんだ。それに今まで黙っていた僕も悪いし、バレるまでずっと一夏達を騙し続けてきただろうし…」
ラシャは、シャルルを冷ややかに見つめた。
「手前から助けを求めてきたのであればそうする余地もあったさ。だが、どのような理由があれ、お前はお前たちを騙した。俺の大事な人を騙して今日の今日までのうのうと生きた。故に俺からかけてやる慈悲なぞどこにも無い」
ラシャは携帯電話を取り出して千冬の番号に淡々と電話をかけ始めた。一夏はその様子を釈然としない思いで見つめていたが、意を決して口を開いた。
「それでも俺は納得できねえ…」
「今はする必要はない。近い将来足元を掬われた時に納得すればいい。尤も、その時お前が生きてればの話だがな……っと。ああ織斑先生。緊急事態が発生しましたので、一夏の部屋に大至急来て頂きたいのですが……あと念のため武装した人員を数名お願いします。それでは」
ラシャは携帯電話を切ると、シャルルに視線を戻した。その表情は先程のそれより幾分か柔和になっていた。
「まあお前はこうしている間にも手向かうことをしなかった。大方落ち目の実家にあれこれ言われてのことなんだろう?知ってることを取り調べで全部吐けば情状酌量の余地はあるんじゃないか。まあ捜査にどれだけ協力的かによるけどな。少なくとも学園が許せば俺はなにもしないさ」
その後、駆けつけた千冬達によってシャルル・デュノアは拘束された。厳重な取り調べの結果、彼女自身脅迫されて今回の件に協力していた点が明らかとなり、学園に仇なす存在ではないと判断され、数日間の拘束の果てに釈放という判決が下された。
翌日の夜、ラシャは十蔵に緊急招集され学園長室に居た。
「まずは病み上がりの中、さらなる問題に対処してもらったことに感謝しなければなりませんね」
十蔵は柔和な笑みを貼り付けてラシャを労った。対するラシャの表情は固く、今回の招集もまた慰労の為にあったわけではないということを理解していた。十蔵も彼の腹の中を読み取ったのか、直ぐに冷たい表情に変え、数枚の報告書をラシャに手渡した。
「此度の騒動は一部とはいえ国家が関わっていました。更識に調査をさせたところ、シャルル・デュノア……いえ、『シャルロット・デュノア』の入学をお膳立てしたのはフランス政府の
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