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もう友達じゃない
第五章
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「やっぱり先輩達って」
「そうだよな。どう見たってな」
「付き合ってるわよね」
「そうだよな」
 こう言い合うのだった。そしてだった。
 彼等にしてもだ。それはだった。
「まあそうかもな」
「そうかも知れないわね」
 こう言い合うのだった。
「そう見えるんならな」
「私達ってそうした関係でしょうね」
 否定しなかった。これが今の二人だった。
「俺達にしてもな」
「そう思うし」
「えっ、じゃあ先輩達って」
「ひょっとして本当にですか?」
「交際されてるんですか」
「そうなんですか」
 後輩達は二人の言葉に驚いた。しかもだ。
 やはり二人は否定しなかった。その疑惑に。これが決定打となった。
 二人は完全に周りから付き合っていると思われるようになった。しかも二人もそれを受けてだった。
 否定しない言葉で答えた。しかもにこりと笑って。
 それで二人は公認のカップルになった。そしてそのことについてだ。
 二人でまた下校の電車の中でだ。こんな話をした。
「何かな」
「何かっていうと?」
「意外と何でもないんだな」
 自由から言った言葉だった。
「彼氏彼女になってもな」
「そうね。私もね」
「桜場もそう思うんだな」
「間もよね」
「ああ、俺もな」
 自分もだとだ。自由は前を見ながら答える。やはり今は夜で前にあるのは向かい側の席と車窓だ。車窓にあるのは夜の闇とネオンの光だけである。
 その紫に近い黒と赤や青の光を見ながらだ。自由は言うのだった。
「肩肘張らないよな」
「意外とそうよね」
「俺な。思ってたんだよ」
 自由はさらに言う。
「彼氏彼女の関係ってな」
「もっと特別なものだって思ってたのね」
「ああ。それが実はな」
「意外とね。友達同士と同じで」
「肩肘張らずに特別なものでもなくて」
「ええ。普通よね」
「本当に普通だよな」
 何もかも変わらない。そうだというのだ。
 自由も真子もそう言い合う。そしてだった。
 今度は真子からだ。自由にこう言ってきた。
「あのね。それじゃあね」
「それじゃあ?今度は何だよ」
「ええ。このまま肩肘張らずにね」
 そのうえでだというのだ。
「仲良くやっていこう。これまで通りね」
「ああ、そうしようか」
「それでいいわよね。仲良くね」
「そうするか」
「それでね」
 こうした話をしてだった。二人は。
 今もキスをしようとした。だが今は。
 二人のいる車両には他の乗客もいた。何人か席に座っている。その彼等を見てだ。真子の方から苦笑いになってそのうえで言ったのだった。
「今はね」
「そうだな。ちょっと
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