第一章
[2]次話
太陽がくれた季節
その曲を聴いて皆すぐにこう言った。皆で友達のお家の部屋に入ってそこでたまたま昔の音楽をお菓子やジュースを楽しみつつユーチューブで聴いて。
「古い歌ね」
「そうよね」
「というか臭い？」
「もう昔ながらの」
「そうよね」
私もこう思った、実際に。
「何これって感じで」
「もうべたべた？」
「今日から僕等のとかね」
「青春とか青空とか」
「もう臭いまでよね」
「そのまま七十年代？」
「昭和よね」
そうしたフォークとかの頃の歌だと心から思った、それで私は聴き終えてから苦笑いで言った。
「ないない、ないわよ」
「こんなことはね」
「絶対によね」
「ないわよね」
「それこそ」
皆私と同じ顔で言う。
「白い鳩とかね」
「愛はまだ歌うけれど」
「それでもね」
「昔はこれでよかったのね」
「大ヒットしたのね」
「というかこの歌トシちゃんマッチより先でしょ」
「この人達はまだわかるけれど」
今のあの事務所を作ったと言っていい人達はだ。
「郷ひろみより前じゃない」
「そんな時代の曲なんてね」
「私達知らないわよ」
「それで聴いてもね」
「思わず笑ったわ」
「本当にね」
「いや、カラオケで歌うにしても」
私は苦笑いのまま首を傾げさせた。
「これはないわ」
「この頃って確か」
友達の一人が首を傾げさせながらこう言った。
「仮面ライダーも最初の頃？」
「ああ、あの頃よね」
「一号とか二号とかね」
「巨人の星とか明日のジョーとかが人気あって」
「あと学生運動とかあって？」
「私達のお祖父ちゃんお祖母ちゃんの頃ね」
「いや、こうした曲が流行ってたのね」
「うちのお祖父ちゃんなんてね」
私はここであのお祖父ちゃんを思い出して言った。
「もう定年で全部白髪でね」
「うちのお祖父ちゃんもう禿げよ」
「うちは顔中皺だらけ」
「こっちは糖尿病よ」
「神経痛になってるわよ」
皆それぞれのお祖父ちゃんを話す。
「もう何ていうかね」
「六十過ぎたらそんなのよね」
「けれどお祖父ちゃんお祖母ちゃんの若い頃ってこうだったのね」
「こうした曲も流行ってて」
「学生運動とかもあったのね」
「というか凄い曲ね」
私はあらためてこの曲のことを思った。
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