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女々しくて
第七章

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「そうしたことしなくてよかったぜ」
「そうした奴はだ」
「よりを戻す価値がないか」
「そういうことだ」
「成程な」
「そりゃ女々しくなる時もある」
 ツレはそうした時自体は否定しなかった。
「誰でもな、けれどな」
「それでもか」
「そうしたことをしていい場合があってな」
「俺はそうしたらいけない時だったか」
「そうだ、そんな相手じゃなかった」
 女々しく恥も外聞もなく戻ってきてくれとか言う様な、というのだ。
「そう思ったから言わなかった」
「そうだったんだな」
「わかったな、これで」
「ああ、酷い女だったんだな」
「むしろ向こうから去って本当によかったな」
「今はそう思うぜ」
「だったらな、そろそろな」
 俺に微笑んでこうも言ってきた。
「いい相手を迎えろ」
「探してるぜ、今な」
「そろそろだといいな」
「そうだよな」
「まあそれも相応しい相手が見付かるさ」
 俺にというのだ。
「だから安心しろ」
「えらい楽観的だな」
「彼女欲しいんだろ」
「ああ、絶対にな」
「そう思って努力して探してたらな」
 そうすればというのだ。
「また出会えるさ」
「だといいけれどな」
「だから安心しろ、それでな」
「それで?」
「もうあの女のことは忘れたな」
 俺にこのことも聞いてきた。
「そうだな」
「ああ、そう言われるとな」
 正直どうでもよくなっていた、というかあいつの実際の所業を聞いていて嫌な女だと心から思っている。
「完全にな」
「そうだろ、女々しく言う必要とかなかったな」
「そうだったな」
「そんなものだ、もう忘れたならな」
「どうでもいいってことでか」
「忘れろ、いいな」
「ああ、わかったぜ」
 俺はツレに笑って応えた、そしてだった。
 俺は合コンに行くことにした、いい相手に出会えることを期待しつつ。自分でも吹っ切れていて前の女のことはどうでもいいと思いながら。


女々しくて   完


               2017・3・26
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