暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
弱きは言い訳にならず
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―だが。
それでも、彼はまだ、あきらめてはいなかった。
「まだ、だッ!まだ、手はあるッッ!!」
血の吐くような叫び。
しかしその瞳は、まだ焔を宿している。
スプリガン領主は剣のように鋭く左手を振り、領主専用の巨大なシステムメニューを出現させた。無数のウインドウが階層を成し、光の六角柱を作りだしている。
ファナハンは血走った眼でその中から一枚のタブを引っ張り出し、古参らしい素早いスピードで指を走らせた。
「舐めるなよ。投票の結果が発表されるその瞬間まで、領主権限は俺にある!領主が持つ権利は、何も税率の上げ下げだけじゃない。領民の追放権だってあるんだ!傀儡の領主を生まれさせるぐらいならば、その前に
脱領者
(
レネゲイド
)
として追放すればいい!!」
脱領者――――領に属することなく、自由奔放を貫く彼らは当然の如く選挙戦には立候補できない。
それも当然だ。税を払うこともなく、どころか他領の者に手を貸すヤツらが上に立つなど、あってはならない。
激甚の感情に顔を歪める男は、ギヂリと奥歯を噛みしめる。
―――そうだ。あの《
矛盾存在
(
アノマリー
)
》のように、その腕を種族に捧げないヤツなど……!!
噂では、あの世界樹のグランド・クエスト攻略にも関わっていたと言われている、とある
黒尽くめ
(
ブラッキー
)
野郎を思い起こしながら、ファナハンは出現した属領者リストをスクロールしていく。
―――どこだ!?あの立候補したクソッタレをさっさと追放すれば、まだ間に合う!!ケットシーの企みは費えるんだ!!
追い詰められた者特有の、ガチガチに強張った顔でアルファベットの羅列を追う領主の耳に、悠々と煙管を吸う狐耳の麗人の声が入ってきた。
魔法によって不自然なまでにクリアに聞こえるその声は、いっそ突き刺すようにこう言った。
「やらせると思うたか?」
「…………なッ!!」
その言葉の内容が正常に脳で処理される直前、ファナハンは血を吐くような呻き声とともに手を止めた。
否、止めざるを得なかった。
なぜなら、領主のみに閲覧可能なシステムメニュー。そこに浮かび上がったスプリガン領に属するプレイヤーリストには、同じ綴り、同じ文字でびっしりと、こう表記されていた。
【Lenhoh】
憎いまでのケットシーの英雄の名前が、そこにはあった。
その数、数千人以上。
表情を歪めることも忘れ、両手を変な位置で浮かしたまま硬直するファナハンの精神を「あっははは!」という悪魔の嗤いが抉り取っていく。
「ウチの隊長の名前を借りたんは、さすがに格好つけすぎたか?割と良い案やと思うんやけどなぁ。なぁ、領主サマ?どーぞ追放してとくれやす、確かにそん中に当たりがおるで。ただし、
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