第二章
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「食いものやってるお店の宿命や」
「そういうことかいな」
「そや、それが嫌やったらや」
「お寿司屋さんの娘を止めろ」
「ゆめが好きなハンバーガーショップの娘になったらどや」
「それもええな」
ゆめは河童巻きを食べつつ兄に応えた。
「正直な」
「本気かい」
「半分な、っていうかや」
「好きなネタ食いたいか」
「そや」
「そやから世の中甘くないんや」
「それでかいな」
「河童巻きばかり出てもや」
それでもというのだ。
「寿司屋の娘やからって諦めるんや」
「難儀な話やな」
「それか河童になるんや」
河童巻きだからだというのだ。
「ええな」
「河童になるんか」
「そや、そうなったらどうや」
「何で河童にならなあかんねん」
即座にだ、ゆめは兄に言い返した。
「そらうち水泳部やけどな」
「それでもやろ」
「うちは河童やないわ」
そうだというのだ。
「人間や、それで満足してる」
「そやからやな」
「河童になるつもりもないし河童巻きばかり食べたないわ」
「後半は余計やろ」
「それでももう河童巻きはええわ」
「そこまで嫌やったら河童巻き売れる様にせい」
完売すればというのだ。
「お店の売り上げアップにもなるわ」
「河童巻きって安いやろ」
「安くても売れればそれだけ儲かる」
「それが商売やな」
「寿司屋は職人で商売人でもあるんや」
その両方だというのだ。
「そやからな」
「売れてナンボで」
「河童巻きも完売したら嬉しい」
「そういうことか」
「うちの店のサイト自分が管理してるやろ」
そちらは携帯好きのゆめの受け持ちになっているのだ。
「ほな河童巻きも宣伝せい」
「トロや平目や新商品だけやなくてやな」
「それでやったらええ」
「そや」
こう言ってだ、そのうえでだ。
ゆめは実際に自分がもう河童巻きを食べない為にこれが七割で三割は店の売り上げの為にだった。
店のサイトで河童巻き推しをはじめた、すると暫くしてだった。
店にある客が来た、その客はやけに口が尖っていて頭の天辺のところがフランシスコ=ザビエルの様になっている。小太りで手に何故か水かきみたいなものがある中年男だった。
男は店のカウンターに入るとだ、こう言ったのだった。
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