第四十七話 成長その七
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「進路の幅を拡げてね」
「進路を」
「やっぱり進路は沢山あった方がいいわ」
その方がというのだ。
「一つしかないよりもね」
「沢山あって選べた方がいいのね」
「そうよ、じゃあいいわね」
「ええ、進路拡げるわ」
「そうしてね」
まずはとだ、優子は妹に言った。そして実際に優花は学業にも励み進学のことを意識していた。長崎での高校生活は進んでいき。
三年の進路決定の時にだ、優花は担任の教師に進路相談で言った。
「神戸の大学に行きます」
「八条大学にな」
中年の男の教師だ、口は悪いが面倒見のいいことで知られている。生徒からは人気のある教師の人地だ。
「行くんだな」
「そうします」
「それでどの学部に行くんだ?」
神戸から来た優子と三人でのクラスの中での面接でだ、教師は問うた。
「御前なら法学部も行けるが」
「はい、ですが」
「法学部にはか」
「行かないつもりです」
こう答えるのだった。
「あまりそちらには興味がなくて」
「だからか」
「文学部を考えています」
「そっちか」
「文学、日本のそれから女性を考えてみたくて」
「それでか」
「はい、文学部を考えています」
こう担任に答えた、相手の顔を見て。
「そうした理由で」
「わかった、じゃあな」
「それで、ですか」
「御前の道を行け」
これが担任の優花への言葉だった。
「安心してな」
「安心してですか」
「そうだ、御前は大丈夫だ」
暖かい笑みでだ、優花に言うのだった。
「御前自身がしっかりしていてお姉さんもいてくれているからな」
「姉さんが」
「だからだ」
担任は優子も見て話した。
「安心していい」
「そうですか」
「そうだ、何かあればお姉さんを頼れ」
姉である彼女をというのだ。
「いいな」
「それじゃあ」
「そうしてな」
そのうえでというのだ。
「未来を歩んでいけ」
「そうさせてもらいます」
優花もしっかりとした顔で答えた、そのうえで担任に彼女から言った。
「私、私の未来を進んでいきます」
「そうだ、文学部で国文学を学ぶつもりだな」
「近現代の」
「夏目漱石か?太宰治か?」
「そこまではまだ考えてないですが」
それでもとだ、優花は担任に答えた。
「文学から人間を学んでいきたいです」
「そうか、人間をか」
「そう考えています」
「いいことだ、文学にはな」
まさにとだ、担任は優花の言葉を受けてこう返した。
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