第3章 リーザス陥落
第97話 ゴールデン・ザ・ランス作戦
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は。解放軍は連戦に次ぐ連戦で、兵達も疲弊しきっております。軍事費も最早捻出できず……」
「たどり着いた矢先の強固な壁だ。ここまで信念を貫き、戦い続けてきた者達だったが、心を折るには十分すぎるのだろう。……オレは雇われの身だ。その意向に従う」
武器を持たない鬼と呼ばれる戦士と、リーザス最強と名高い死神。
2人の言葉を訊いて、パットンは再び笑う。
「カカカカカ! そうだろうそうだろう。私達だけが厳しい訳が無い」
ヘルマンの常識に照らし合わせれば、これ程連続して兵を集め 戦い続けられる訳がない。
何より、ヘルマン側の方が兵士の数は圧倒的に多かった筈なのだ。……それを打ち破ってきた力は驚嘆に値するが、それで疲弊し切ったとしても疑う事もなかった。
「清十郎殿も申し上げましたが、ここの壁…… 城壁の防備もあり……。我々は パットン殿下のご厚情に縋り、民を安堵していただくほかないと結論しました」
「うむ。私も無駄な殺生は好まん。武装解除して降伏するのなら、それ以上血を見るようなことはせぬ」
「は……。つきましては降伏の証に貢物をお渡ししたいと運んできております」
リックがそういうと清十郎が動いた。
南側を向いた窓に掛けられていたカーテンをそっと開く。
「おお……あれはゴールデンハニーか?」
「はい。傷1つない一品です。人を襲う様な事もありません。こちらをお納めいただければ、と」
「ふ、っ……… ふわっっはははははははは!! あんなものまで用意したのか!? さぞ苦労をしただろうに!」
「…………………」
自分自身の歓心を得ることに懸命になっていた、とパットンは感じて有頂天になってしまっていた。
「こちら側も痛い目をみた。たいそう遭ったがな! それはもう良い! 降伏を認めよう! よし、あのゴールデンハニーを城内へ入れよ」
「かたじけない」
「……感謝する」
リックと清十郎はそっと頭を下げる。
こうまで上手くいくものなのか……、と普段は表情に出にくい2人だが今回ばかりは危険だった。だからこそ、本当に良いタイミングで頭を下げる事が出来たのだ。
下げている間、僅かに変わった表情を直ぐに戻した。
「他の条件に関しては後ほどお伝えします。……この寛大な処遇を外の皆に伝えねばならないので、これにて……」
リックの言葉で清十郎も背を向けたその時だ。
「ああ、待て。貴様らに聞きたい事がある」
パットンの言葉に呼び止められた。
一瞬だが ヒヤリと冷たいものを感じたが、杞憂だという事は直ぐに判明する。
「死神と鬼。……貴様らの戦果は私の耳にも届いておる。一騎当千の戦士である事。……貴様らがトーマを仕留めたのか?」
「いいえ。私ではありません」
「……あ
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