暁 〜小説投稿サイト〜
亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十三話 兵は詭道なり
[1/6]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
宇宙暦 794年 4月 6日 ヴァンフリート4=2 エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
帝国軍が攻めてきた、その兵力は十万。もう直ぐこの基地に攻めかかるだろう。通信を傍受して分かったのだが指揮官はやはりリューネブルクらしい。となると次席指揮官はラインハルトだと見ていい、原作どおりだ。
連中が原作どおり攻めてくるなら同盟軍は勝てる、勝てるはずだ。だが勝てばどうなる? 場合によってはラインハルトは死ぬだろう、いやかなりの確率で死ぬはずだ。
ラインハルトが死ねば帝国による宇宙の統一は無くなる。結果的に戦争は長く続くだろう、百年か、それとも二百年か……。俺が何時まで生きているかは分からないが、生きている間に戦争がなくなる事は無いかもしれない……。あるいは戦争が無くなる前に同盟と帝国の両国が崩壊するかもしれない。残るのはフェザーンとそれを操る地球教か……。笑える未来だ。
死ねばいい、俺が此処で死ねばラインハルトは皇帝になり宇宙を統一するだろう。人類全体のためを思えばそうするべきだろう。だが俺は死にたくない、利己主義といわれようが身勝手といわれようが俺は死にたくない。他人のために死ぬなんて真っ平だ。この世界に生まれて両親を奪われた、帝国からも追われた、おまけに訳の分からん戦争に放り込まれた。どうして俺だけが犠牲にならなきゃならない。ふざけるな!
思い切れ、詰まらない事を考えるな! ただ勝つ事を考えろ、生き延びるんだ。何のために生き延びるのかは生きているうちに分かるだろう。そう信じて生きるんだ。笑え、お前は勝てる、歴史を変える事が出来る事を喜ぶんだ……。後の事などどうなろうと知った事か!
不安そうな眼でセレブレッゼ中将が俺を見ている。そんな顔をしなくてもいい、俺がこの戦いを勝たせてやる。あんたの一生も変わる、原作ではこの戦いで捕虜になるが、俺があんたを勝利者にしてやる。後方勤務本部次長だろうが本部長だろうが好きなものになれば良い。だからあんたは俺に指揮権を預けてくれればいいんだ……。
「閣下、帝国軍が攻めてきました。迎撃の指示を出しますが、宜しいですか」
「うむ、宜しい、少佐」
「各戦闘区域は帝国軍が攻撃範囲内に入りしだい攻撃せよ、第三十一、第三十三戦略爆撃航空団は集束弾を搭載、第十八攻撃航空団は対艦ミサイルを搭載、第五十二制空戦闘航空団は空戦準備、別命あるまでいずれも待機せよ」
ヴァンフリート4=2の戦が始まった……。全ては此処から始まるだろう……。
宇宙暦 794年 4月 6日 ヴァンフリート4=2 ミハマ・サアヤ
戦闘が始まって既に十二時間が経ちました。基地からは同盟軍に対して悲鳴のような救援要請が出ています。“帝国軍が大規模陸上部隊をもって基地を攻撃中。被害甚大、至急救援を請う、急がれた
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ