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そこに気付いても
第四章

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「その俺に対してな」
「だからな。洒落なんだよ」
「それなんだよ」
 彼等はこう返した。
「そういうのもな」
「洒落って奴なんだよ」
「洒落!?」
 洒落と言われてだ。浩一は一旦立ち止まった。
 そしてそのうえでだ。やや落ち着いた顔になって彼等に問い返した。
「ってことはな」
「ああ、生き別れの妹っていうのもな」
「洒落なんだよ」
「皆あえてそう言ってるんだよ」
「そういうものなんだよ」 
 友人達はこう浩一に返した。
「御前もそういうのを理解しないと駄目だぜ」
「真面目だけがファンじゃないんだよ」
「そうした洒落がわかって。余裕があるのもファンなんだよ」
「わかったか?その辺り」
「そうなのかよ」
 言われてだ。ようやくだった。
 浩一も頷きだした。そして首を傾げさせながらこう言うのだった。
「じゃああれか?皆、エロゲもやる奴はあえてか」
「そうなんだよ。わかっててな」
「そういうことにしてるんだよ」
「そういう洒落もあるんだよ」
「成程な。どうやら俺はな」
 ここでだ。後逸は腕を組んだ。そのうえで言うのだった。
「まだまだ。声優さんに対しての楽しみ方がわかっていなかったな」
「ああ、そうした楽しみ方もあるんだよ」
「エロゲだってあるからな」
「よくわかったよ。じゃあな」
 浩一はさらに言う。
「もっとエロゲやってくか」
「そうしたらもっと驚くからな」
「凄いことがあるからな」
「凄いこと?まだあるのかよ」
 そうしたことも言われて首を捻る浩一にだ。友人達は笑って話す。
「生き別れだけでも凄いのに」
「だから。エロゲを買えばわかるさ」
「調べてもいいぜ」
「まあ。サイトをチェックしてみるか」
 友人達の思わせぶりな笑みと言葉を聞いてだ。浩一は首を捻りながらも言った。
「それぞれのエロゲのサイトな」
「ああ、興味があるゲームは全部そうしてみな」
「本当に面白いからな」
「どう面白いのか。確めてみるな」
 浩一はこの時は軽く考えていた。というか全く知らなかった。
 そのうえでそうしたサイトのチェックを行った。その結果彼はパソコンの画面でフリーズしてしまった。
 何と生き別れの妹は一人ではなかったのだ。それも二人どころか。
「この人何十人そうした人がいるんだよ」
 それこそ七十人以上生き別れの妹がいる声優もいた。彼はこのことに驚愕し固まってしまっていた。声優の世界も表だけではないのだ。


そこに気付いても   完


                    2012・5・25
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