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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十二話 ヴァンフリート星域の会戦
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を求められたヴァレンシュタイン少佐は落ち着いたものでした。少佐は帝国軍がこの基地の事を知っていたのであれば上空から攻撃をかけてきたはずだと中将に説明したのです。

確かにその通りです、上空から攻撃したほうが効果的です。もっともこの基地の周囲には少佐が運び込んだ対空システム四千基が設置されています。不用意に近付けば大損害を受けます。

さらにヴァレンシュタイン少佐は帝国軍は現時点では基地の存在を知らないがいずれ気付き、攻撃をかけてくると言いました。そして直ちに迎撃態勢を取り味方に救援要請をするべきだと進言したのです。

中将は少佐の意見を受け入れました。今現在、基地は少佐の指示に従って迎撃態勢を取っています。少佐の予想では帝国軍が準備を整え攻め寄せてくるのは四月の五日から七日ごろだそうです。

ヴァレンシュタイン少佐は今、味方に救援要請を出そうとしています。これには反対する人も多いです。なんと言っても基地の存在を敵に知られる可能性が有ります。場合によっては他の敵艦隊も来るかもしれません。

「ヴァレンシュタイン少佐、通信はしないほうが良いのではないか? ヴァンフリート4=2の敵がこちらに気付いたとは限らない、余計な事はしないほうが良いだろう、救援要請は彼らが攻めてきてからのほうが良いのではないかな」

ヴァーンシャッフェ大佐がヴァレンシュタイン少佐に話しています。ヴァーンシャッフェ大佐はローゼンリッターの連隊長です。地上戦となれば最前線で戦う事になるでしょう。戦えば犠牲が出ます、無理はしたくないのかもしれません。

「敵は攻めてきますよ、大佐。彼らがこのヴァンフリート4=2に降下する直前ですが、この基地から同盟軍総司令部に向けて通信を送りました。彼らがそれに気付かなかったとも思えません。此処に同盟の活動拠点があると気付いたはずです。偵察も済ませたかもしれませんね」
「……」

大佐は憮然としています。ヴァレンシュタイン少佐はそんな大佐の様子を気にする事も無く話を続けました。
「大佐、敵艦隊の司令官が誰か、分かりますか?」
「いや、分からん。貴官は分かるのか?」

ヴァーンシャッフェ大佐の問いかけにヴァレンシュタイン少佐は頷きました。
「帝国軍中将、グリンメルスハウゼン子爵です」
「……」
何故そんな事が分かるのか……。私だけじゃありません、傍にいるフィッツシモンズ中尉、バグダッシュ少佐も訝しげな表情をしています。

「彼は以前皇帝の侍従武官をしていました。その所為で皇帝の信頼は厚い。彼は軍人としては無能と言って良いのですがそれでも周囲は彼をお払い箱に出来ずにいる」
「……」

「おそらく今回の戦いでも何の役にも立たなかったのでしょう。ミュッケンベルガー元帥は彼を足手まといにしかならないと判断した。下手に
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