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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第83話:詰めを誤ると全てが崩れる。
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のだろう。

だが詰めが甘かった……
まさか我々にその存在を知られる事になろうとは思ってもなかっただろう。
あとは如何やって、あの男が言う『超絶兵器』を持ち帰るかだ!

「あの男は『発明した』と言ってましたし、何処かに試作機の類いは存在すると思うのですが……」
「アトキンス子爵よ、それはそうだが……我々には後10日ほどしか時間がないのだ。探すのも大変なら、見つけ出した後に持ち出そうとするのも困難であろう」
アトキンス子爵の発言にシェラサード公は苦い表情で駄目出しをする。

「あの男の頭の中には超絶兵器の設計図が存在するでしょうから、奴を本国に連れ帰る事が出来れば良いのですが……」
「ゴルディアス男爵よ……それも難しいのではないのかな? 囚われてる奴隷商人の方であれば、言葉巧みに連れ帰る事が出来たとしても、我が国とは無縁の兵器発明家を連れ帰ろうとすれば……」

「シェラサード公、その点は私にお任せ下さいませぬか? 考えがございます」
「ほうパンタリオン伯には何ぞ良いアイデアが?」
ある! 現在の私にだから出来るアイデアがね。

「ゴルディアス男爵の考えを具現化するのです」
「具現化とは?」
シェラサード公も他の者も興味を示してくる。

「私はあの奴隷商人とは面識があります……尤も皆様も多少なりとも過去に面識はあるでしょうが」
「当然ではないか。あの商人は我が国で1番多く奴隷を取り扱っていた男だぞ。奴が居なくなって生きの良い奴隷を確保するのが難しくなったのだからな!」

「その通りですが、今回は互いに顔見知りと言う事を強調し、親しい友人であったとグランバニアには説明するのです」
「そんな事をして意味が?」

「ありますとも。この国は国王や宰相を見る限り、貴賎の差を作らぬよう横の繋がりを大切にする傾向が見受けられます。そんな中、私が宰相に『あの商人とは旧知の友。もう一生会えないと思うと胸が苦しくなります。どうか今一度面会の機会を下さいませ』と言って同情を誘い地下牢まで行ったら、何とか脱獄用のナイフとこちらの作戦を記した手紙を渡すのです」

「う〜ん……パンタリオン伯の作戦は素晴らしいと思いますが、そんなに上手くいきますかな? 殿下に知られたら大問題になるやもしれませんぞ!」
「アトキンス子爵の懸念も最もですが、だからこそ私がこの作戦に適任なのです」

「ほう……パンタリオン伯が適任な理由は?」
「シェラサード公もご存じの通り、私はこの旅で不埒な発言をしグランバニア王と宰相に悪い印象を与えてきました。そんな男が郷愁から下賤なる者に会いたいと言うのです。そしてそれに際して我が国の殿下には内密にして貰えるよう相談します」

「そんな相談しても一蹴されるのがオチであろう」
「いいえ……先にも言いました
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