第四章
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蒲公英の葉を使ったお世辞にも美味とは思えないそれを飲みつつだ。彼は言うのだった。
「準備は一刻も早くだ」
「整えないといけませんね」
「マンシュタイン閣下の仰る攻撃開始時間は迫っています」
「ですから」
「そうだ。急がせるのだ」
部隊全体にだ。攻撃準備を完了させろというのだ。
「わかったな。すぐにだ」
「わかっています。その時までにです」
「態勢を整えておきます」
幕僚達も必死だった。実は攻撃準備は遅れていた。雨が降ったりその後の泥のせいでそれは順調ではなかった。しかしだった。
将兵達は雨と泥に塗れながらも作業をしていた。既に線路は敷いた。
列車砲も組み立て砲弾の準備もしている。その中でだ。
ヘッケンは現場を監督しながら兵士達に告げた。
「間も無くだからな。本当にな」
「わかってますよ。休まず進めてますから」
「あともう少しで攻撃態勢は完了します」
「本当にあと少しです」
「俺達も急いでますよ」
「頼むぞ」
ヘッケンは切実な顔で兵士達に言う。今は雨だ。ヘッケンも兵士達もコートを着ながら雨の中で作業をしている。下は泥の川の様になっている。
それで作業はしにくい。しかしだった。
彼等は必死に作業をしていた。そしてだった。
「夜もやりますよね」
「そうしますよね」
「ああ、今日もな」
まさにだ。昼夜兼行だった。それで雨の中でも作業を続けてだった。
彼等は何とか攻撃開始時間に間に合わせた。その時が来ると。
司令部に電報が入った。幕僚の一人がその電報をハイネセンに読み上げる。
「本日、八時からです」
「あと三十分だな」
ハイネセンは自分の左手の腕時計を見て述べた。
「そしてか」
「はい、その時間になればです」
「わかった。では攻撃準備に入ろう」
「その時になると同時にですね」
「目標は既に定めている」
昨日までに何度もだ。作戦会議を行い決めていた。
それでだ。ハイネセンは言うのだった。
「後は八時になればだ」
「その攻撃目標に対して」
「砲撃だ」
彼等の列車砲、まさにそれでだというのだ。
「わかったな。そうするぞ」
「わかりました。それでは」
「では諸君、いいか」
ハイネセンは真剣な顔で幕僚全員に告げた。
「我々も司令部を出てだ」
「はい、攻撃を見ましょう」
「その状況を」
「指示はその都度出す」
ドイツ軍らしくだ。現場主義でいくというのだ。
「では行くぞ」
「わかりました」
「それでは」
幕僚達もドイツ軍の敬礼で応える。こうしてだった。
部隊全体で八時のその攻撃時間に合わせて動く。列車砲に砲弾が入
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