外伝
外伝『雷禍と凍漣〜竜具を介して心に問う』
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込んでいく。
竜技は心の技と、サーシャは言っていた。威力、精度、それらが顕著にあらわれる。
落ち着いた心境で、リーザはそれとなくソフィーに言葉を紡いだ。
「アレクサンドラはどうするつもりでしょうね」
「今のところ、サーシャには両公爵のつきあいはないわ。例えあったとしても、サーシャは多分……中立を決め込むんじゃないかしら」
ともあれ、ソフィーが語る一通りの事情を聞いているうちに、リュドミラもエリザヴェータも、自分たちがいずれ、エレオノーラと竜具を介することになるのが偶然ではない事を知った。
ブリューヌを代表するテナルディエ公爵と交流を持つ凍漣と雷禍は、ジスタートの国益に直接関わっている。もし、ジスタート王に次ぐ戦姫が、交易摩擦などで問題が発生すれば、公国公主の責務を問われる。エレオノーラの巻き起こす嵐のような行動は、決して他人事ではないことを、両者は改めて認識した。
「つまり、エレオノーラに振り回されているようなものですわね。わたくしたち」
「……ふん」
エリザヴェータの楽しそうな言葉に、ミラの綺麗な眉根が寄る。ソフィーはその表情を見逃さなかった。
「ミラ。戦姫であることに誇りを持つのは大切だけれど、それに縛られすぎるのはあなたの悪い癖よ。あなたの場合は仕方がないかもしれないけど……」
ソフィーの言葉はこれまで会った時とは違い、珍しくミラの癪に障った。そもそも、エレオノーラが戦姫に選ばれた場合は『偶然』であって、リュドミラが戦姫に選ばれた背景に『必然』という不安定な期待を、文官や武官に、特に母上に望まれていたのだ。戦姫に選ばれた『重み』を、あんな礼儀知らずな野蛮人と同列にされてたまるものか。
「いっそ、貴女みたいにエレオノーラと完全な確執を持ってしまえば、はっきりと思いきれるのにね。」
明らかな嘲弄と共に、ミラはリーザに唾を吐く。
凍漣たる自分より険悪な関係を知っている故の発言であり、叱咤激励とは程遠い……挑発でもあった。
「……素直に謝罪すれば、せめて背が伸びる方法を教えてやらないこともありませんわ」
ささやかな反撃。主の感情を察するかのように、雷禍がこめかみのように青白い光の筋を立てる。感情に身を任せるだけでは、このリュドミラと大差ない。
とにかく本心としては、自分とエレンの確執を嘲られたことに対して、リーザは心の奥底で、悔しくてたまらなかった。
(子供のようなきっかけで喧嘩した貴女と一緒にされたくありませんわね)
ともかく、背丈についての挑発も、リュドミラは乗らなかった。しかし、その苛立ちは隠しきれず、むしろ見せつけるかのように、氷の刃の鋭さを以て、リーザに睨みかかった。
「ふたりとも。落ち着いて」
若年組二人の戦姫に割って入りながら、ソフィーはなんとか、た
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