巻ノ八十二 川の仕掛けその十一
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「何があろうともじゃ」
「それこそですか」
「うむ、あの者達と離れてはならぬ」
「義兄弟達とは」
「十勇士とはな」
その彼等はというのだ。
「決して離れてはならぬ」
「例え何があろうとも」
「御主の武勇と智略、そしてな」
「あの者達の武勇もあれば」
「必ず何かが出来てじゃ」
昌幸はさらにだった、幸村に言った。
「出来る時が来る」
「必ずですか」
「そうじゃ、だからな」
「それ故に」
「御主達は離れてはならん」
こう強く言うのだった。
「よいな」
「わかり申した、では」
「死ぬ時と場所は同じだと誓い合ったな」
「十一人で」
「ならばそれを貫け」
「常に共にあるのですな」
「御主達はな」
まさにというのだ。
「わかったな」
「さすれば」
「ではじゃ」
ここまで話してだ、昌幸は一旦言葉を止めた。そしてそのうえであらためてだった。幸村に言ったのだった。
「では寝るか」
「今宵は」
「寝ることも大事じゃ」
「心身を休めることも」
「そうじゃ、だからな」
「今は休もうぞ」
「さすれば」
幸村も応えてだ、そうしてだった。
幸村達は今は眠った、戦は石田達の磔で終わった。しかし彼等の戦はまだ続くことがわかっているからこそ今は休み次の戦に備えるのだった。
巻ノ八十二 完
2016・11・16
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