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決して折れない絆の悪魔
白と竜
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しくねえな、もっと冷静なのがお前じゃなかったっけ?」
「悪かったな一夏。俺だってあんな事言われて静かにしてるボンボンじゃねえ……一夏、団長命令だ。あいつを……潰せ」
「了〜解ぃ」

間延びした声と適当な敬礼で答える一夏だがその瞳には嬉しさが滲んでいた。

「私は管制室に行く。一夏、お前は別のピットから出てやれ」
「解ったよ母さん」
「オルガ、ミカ。一夏の応援しっかりな」
「ああ当然」
「うん」

いい子だ、と言って二人の頭を撫で一夏の頬にキスを落としたサムスはそのまま管制室へと歩みを進め一夏たちは別のピットへと向かう。

「くっそっ!!!あいつらのせいで、一夏兄は可笑しくなったんだ!!俺の事を忘れさせられたんだ!!絶対に、絶対に許さねえ…!!」
「百春、あの人は一夏じゃ……」

言い切る前に箒は言葉を飲んだ、その言葉を言ったらお前も許さないと眼光を飛ばしてくる百春の顔があった。怒りを超えている感情に箒は何も言えなくなった。百春は漸く届いたISを展開しカタパルトに足を乗せた。

「俺が……一夏兄を取り戻す……!!」

カタパルトが動きそのまま射出されていく百春を見送る箒の表情は酷く悲しげで、泣きそうな表情だった……。


アリーナへと射出された百春、明るい太陽の光に照らされているその機体はまだ完全な設定が終わっていないのか鉄の塊が人に纏える状態のような色だ、メタリックカラーという物があるが完全に鉄本来の色だ。どこか美しさも感じさせられるがまだ鍛造の最中というイメージが頭に入ってくる。

百春のIS、"白式"と銘打たれたISはまだ初期設定の途中である一次移行《ファーストシフト》という使用者本人に合わせられる調整が終わりきっていない、千冬に終わるまで待てと言われていたが怒りのままに飛び出してきてしまった。そしてそれが試合準備完了の意図と解釈されたのか向かいのピットからISが飛び出して来た。

「織斑来い、俺達鉄華団の戦いを教えてやる」

肩に大きく彫られている赤い花のようなエンブレム、心を一本突き通すような硬い鉄の華。決して散らない鉄の華、それを三日月と同じように身に刻んだ悪魔が現れた。バルバトスと共通の白い身体、左半身は何かを隠すかのような蒼色に染まっている。そしてバルバトスとは違う大きな何かを背負っている姿は戦闘準備をした軍人を思わせる。

「―――Wake up《起きろ》、Astaroth《アスタロト》」

名を告げる。バルバトスと同じくソロモン72柱の魔神の1柱、悪魔の名を冠する者、その名もアスタロト。紅いツインアイが輝きアスタロトに(一夏)が宿る。機体が一瞬震えるように出力が上がる、百春を確認した途端の事だ。倒すべき敵を確認し早く倒させろとISが叫んでいるかのようだ。

―――否
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