第20話(改1.5)<暗号と艦娘>
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補佐担当の艦娘を検討しています」
「なるほど」
(まだ人手不足なんだな)
やがてドアを軽く叩く音がして鳳翔さんが顔を出した。
「あの、司令がこちらと伺いまして。朝食は食堂で宜しいでしょうか?」
私は振り返った。
「ああ。もし祥高さんが執務室に居たら私が食堂で食べることを伝えてくれ」
「かしこまりました」
彼女は軽く礼をして退室した。
私は資料を元に戻すと軽く伸びをして大淀さんに言った。
「では済まない、私は朝食に降りるよ」
「了解しました」
大淀さんは軽く敬礼をした。
廊下に出ると祥高さんが執務室から出てくるところだった。彼女は敬礼をして言った。
「おはようございます司令。早々ですが報告する内容がございます。食堂で、宜しいでしょうか?」
「ああ」
私は軽く返礼した後、彼女と一緒に食堂へ降りた。
歩きながら祥高さんは聞いた。
「よく眠れましたか?」
「ああ」
(ウソだ)
よく考えたら艦娘に取り繕う必要は無いのかも知れない。だが、なぜか彼女には普通の人間と同じような対応をとってしまう。
一方の祥高さんも私のウソを見破っているような意味ありげな微笑を浮かべていたが、それ以上はなにも言わなかった。
食堂は各班が時間をずらしているので、さほど込んではいない。
しかし今朝も私と祥高さんの席には、いつの間にか合い席になっている寛代と、そこに駆逐艦隊が絡む、にぎやかな状況に変わりはなかった。
配膳されるまでの間、祥高さんは私に資料を渡しながら言った。
「明日の視察の件で確認したところ軍令部の暗号文と平行して送られた電報の指示が微妙に違っています」
「つまり?」
「電報では各鎮守府と本省から明日の朝、陸攻で空軍の美保滑走路に到着するとあります」
周りの駆逐艦がうるさい。気にせず彼女は続ける。
「しかし暗号電文では明日、視察団は各鎮守府から、それぞれ列車で来るとあります。また本省からは舞鶴経由で大艇が日本海に沿って到着する計画になっています」
陸攻は一式陸攻、大艇は二式大艇、どちらも海軍の航空機だ。
「また舞鶴から『警備増強のため艦娘の戦艦と空母を差し向けるので受け入れ準備をしておくように』との指示もありました」
「戦艦と空母?」
私は苦笑した。
「ちなみに艦娘の場合、鎮守府での受け入れ準備は不要だよね?」
彼女も微笑んだ。
「仰るとおりですが」
私は美保湾を見ながら腕を組んだ。
(艦娘は戦艦、空母であれ艦種による排水量の差を考えなくても良い)
だからこそ、こんな小さな鎮守府でも大部隊を編成出来る。
(今は、まだ弱小だが)
私の考えに呼応するように祥高さんは続けた。
「ただ美保に
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