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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八話 ポイント・オブ・ノーリターン
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はい、この会見で勝負ありました、警察の負けです。瞬間視聴率八十九パーセント、会見の直後から警察の通信回線はパンクしました。

“馬鹿やろー、ふざけんじゃねーぞ”
“お前らそれでも国を愛しているのか”
“税金返せ、この税金ドロボーが”

一時間後には法秩序委員長が記者会見を開いて次のように言っていました。
“決して軍の、ヴァレンシュタイン大尉の配慮を無にするような事はしない”
事実上の敗北宣言です。一説によると警察は反対したらしいのですが法秩序委員長は“俺が選挙で落選したらどうする、お前ら責任取れるのか”と怒鳴りつけたと言われています……。

軍の対応も早かったです。法秩序委員長の記者会見後、シトレ本部長がヴァレンシュタイン大尉を本部長室に呼び
「軍を代表して貴官の行動に感謝する、貴官の勇気ある行動が我々を窮地から、そして同盟を危機から救ってくれた」
そう言って大尉の肩を強く叩くと自分のほうに抱き寄せました。

トリューニヒト国防委員長も負けずと記者会見を行ないました。
「彼は亡命者かもしれないが優れた愛国者である。人は生まれではなく行動によって自己を主張する。その行動こそがその人を判断する基準なのだ。ヴァレンシュタイン大尉はそのことを我々に教えてくれた」

「私は彼が亡命者だからといって不利益を被るような事がないように注意するつもりだ。それは彼だけの問題ではない、全ての亡命者に言えることでもある。同盟は帝国とは違う、生まれや身分で人を差別する事はしない。たとえ帝国に生まれようと同盟を想う気持があるなら立派な同盟市民である」

御見事です、大尉。私はあの一件がバグダッシュ大尉とキャゼルヌ大佐に対する仕返しだと知っています。同盟を混乱の極地に突き落としておき、二進も三進も行かなくなってからウルトラCの大技で大逆転する。魔界の大魔王も裸足で逃げ出すほどの悪辣さです。貴方には誰も勝てません。

シトレ本部長を始め同盟軍の上層部は大尉の本当の姿を知っているけどそれでも大尉に感謝せざるを得ません。シトレ本部長が大尉の肩を強く叩いたのは半分くらい“コン畜生”という気持があったんだと思います。バグダッシュ大尉も“やってくれるよな”とぼやいていました。

毒食わば皿まで、軍上層部はそう考えたんだと思います。ヴァレンシュタイン大尉を情報部に出向という形で捜査に加えました。私もそれに同行しました。丁度その頃フェザーンのパーティに出席した事がマスコミに放送され周囲の視線が痛かったから。

マスコミは好意的に取ってくれました。
“ヴァレンシュタイン大尉、帝国に宣戦布告、その健在をアピール”
“たった一人の戦い、エーリッヒ・ヴァレンシュタイン。その素顔”

そんな題名でマスコミは面白おかしく記事を書いていました。それによると大尉
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