Side Story
少女怪盗と仮面の神父 42
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見下ろし、周囲の人間を存在ごと無視してせっせと撤退計画を練っている。最早ミートリッテの将来には興味を傾ける気配すら見せてくれない。
「……ひきょーもの」
「アーレストはイオーネとマーシャルを担いで、捕縛隊と一緒にネアウィック村の北東の山へ行け」
「おーぼーでんか」
「北東の山、ですか」
「しょくむたいまんしんぷ」
「村の入口から東に十分程度の場所で商隊が潜んでる。第二王子と共に村へ向かってる途中、正体不明の集団に襲われてな。襲撃者の大半は護衛騎士達が捕らえたんだが、一部が蜘蛛の子を散らすように逃げるわ、商隊側に複数の負傷者が出るわ。周辺を調査しようにも追手を放った分人手不足だし、村を警備してる自警団を呼びに行きたくても、いつ・何処から襲われるか判らない状況の所為で身動きが取れなくなってんだ。物騒な話だろ?」
「イジメはんたーい。むらはちぶはよくないとおもいまーす」
「それはまた、なんとも恐ろしい世の中になりましたね。では私は、先日、予定より早い殿下来訪の報せを受け取り、急遽、教会の業務を一時中断。隣村の近くで合流して以降ずっと同行……襲撃が長時間止むまで怪我人の介抱を手伝っていた者として、村民の方々へ早急に帰村をお伝えしなくては」
「さぎし、ぺてんし、うそつきぃ。おとなって、きたな」
「喧しい!」
「ぁ痛っ」
「ったく、このズボラ娘。お前が助けろって言うから、アーレストが助け舟を出してやったんだろうが。少しは自分の頭で考えて行動しろ。時間は貴重だ。有意義に使え。無駄話に費やすな」
さすがにネチネチ根暗攻撃は効いたらしい。二人共、漸くミートリッテを視界に入れてくれた。王子には平手で べちっと ぶっ叩かれたが。
前頭部に走った鋭い衝撃が目の奥までじんわり浸透して、地味に痛い。
「……っ今まで自分で出した結論が悉く間違ってたから、今後は詳細を説明してくれと訴えてるんですよ! この、手抜き王子! 同じ材料で何通りの料理が出来ると思ってるんですか!? 席に座れば出て来る王宮の食事じゃないんだから、作って欲しい料理名くらい予めハッキリ教えてといてください!」
「は? 料理ぃ?」
「喩え話です! 切っ掛けの一つでもくれないと、投げ渡された材料の数だけ選択肢が増えて、望まれてる結論に到るまでの時間が余計に掛かるの! 私達は一人一人違う思考を持つ、貴方とは別個の存在なんですよ!? 相談しろ、話し合えって言うなら、欲しい物が判ってる人とそうでない人の意識の差もちゃんと理解して、お父様ッ!」
アーレストが現状打破に何らかの力を貸してくれた事は判ってる。
場合によっては戦いを強要される貴族から、何があっても戦えない高位聖職者への真逆な転身……多分、崖に出る前、ベルヘンス卿の仲間と思しき三人に「この娘が組み込
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