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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
釣り自慢
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その際素材の解説をしなかったのは賢明だろう。恐縮するニシダに向かって、こちらこそ美味しいお魚を分けていただきましたから、と笑う。
アスナは隣に座る俺に、自信なさげな声で訊ねる。
「ネザー君……美味しかった……?」
「………」
一瞬だけチラッとアスナに眼を向けた後、しばらくの間沈黙したが、
「……旨かった。魚を食ったのは、久しぶりだ……」
と呟くように答えた。
それを聞いたアスナは、微笑みながらよかったと内心で喜んでいた。
次いでニシダを見て続けた。
「ニシダさんは釣りの名人なんですね。キリト君はロクに釣ってきたためしがないんですよ」
唐突に話の矛先を向けられて、キリトは
憮然
(
ぶぜん
)
として茶を
啜
(
すす
)
った。
「この辺の湖は難易度が高すぎるんだよ」
「いや、そうではありませんよ。難度が高いのはキリトさんが釣っておられたあの大きい湖だけです」
「な……」
ニシダの言葉にキリトは絶句した。アスナがお腹を押さえてくっくっと笑い、隣の俺は呆れるしかなかった。
「なんでそんな設定になってるんだ?」
「実は、あの湖にはですね……」
ニシダは声を潜めるように言った。
「どうやら、主がおるんです」
「「「主?」」」
異口同音に聞き返す3人に向かってニヤリと笑って見せると、ニシダはメガネを押し上げながら続けた。
「村の道具屋に、1つだけやけに値の張る釣り餌がありましてな。物は試しと使ってみたことがあるんです」
思わず
固唾
(
かたず
)
を呑む。
「ところが、これがさっぱり釣れない。散々あちこちで試した後、ようやくあそこ、唯一難度の高い湖で使うんだろうと思い当たりまして」
「釣れたんですが?」
「ヒットはしました」
深く頷く。しかし、すぐ残念そうな顔になり、
「ただ、私の力では取り込めなかった。竿ごと取られてしまいましたわ。最後にチラリと影だけ見たんですが、大きいなんてもんじゃありませんでしたよ。ありゃ怪物、そこらにいるのとは違う意味でモンスターですな」
両腕をいっぱいに広げてみせる。あの湖で、キリトがここにモンスターはいないと言った時にニシダが見せた意味深い笑顔はそういうことだったのか。
「わあ、見てみたいなぁ!」
眼を輝かせながらアスナが言う。ニシダは、そこで物は相談なんですが、とキリトに視線を向けてきた。
「キリトさんは筋力パラメータのほうに自信は……?」
「う、まあ、そこそこには……」
「なら一緒にやりませんか!合わせるところまでは私がやります。そこから先をお願いしたい」
「ははぁ、釣り竿の《スイッチ》ですか。……できるのかなぁ、そんなこと……」
首を
捻
(
ひね
)
るキリト
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