暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
顧みられる心
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うに小声で言った。

「転移……アルゲート」

俺の仮想体はたちまち青白い光に包まれた。テレポートが完了する寸前まで、2人を見ていた。











昨日までの冷え込みが嘘のような、暖かい微風が芝生の上を吹き抜けていく。陽気に誘われたのか、小鳥が数羽庭木の枝に止まり、人間達の様子を興味そうに見下ろしている。

サーシャの教会の広い前庭には、食堂から移動させた大テーブルが設置され、時ならぬガーデンパーティーが(もよお)されていた。大きなグリルから魔法のように料理が散り出されるたび、子供達が盛大な歓声を上げる。

「こんな(うま)いものが……この世界にあったんですねぇ……」

昨夜救出されたばかりの《軍》最高責任者《シンカー》が、アスナが振るったバーベキューにかぶりつきながら感激の表情で言った。隣ではユリエールがニコニコしながらその様子を眺めている。最初の印象では冷徹な女戦士といった風情(ふぜい)の彼女だったが、シンカーの横にいると陽気な若奥様にしか見えない。

そのシンカーは、昨日は顔を見る余裕がなかったのだが、こうして改めて同じテーブルについてみると、とても巨大組織のトップとは思えない穏やかな印象の人物だった。

背はアスナより少し高い程度、ユリエールよりは明らかに低いだろう。やや太めの体を地味な色合いの服に包み、武装は一切していない。隣のユリエールも今日は軍のユニフォーム姿ではない。

シンカーは、キリトの差し出すワインのボトルをグラスで受け、改めて、という感じでグッと頭を上げた。

「キリトさん、アスナさん。今回は本当にお世話になりました。何とお礼を言っていいのか……」

「いや、俺も向こうでは《MMOトゥディ》に随分お世話になりましたから」

笑みを浮かべながらキリトが答える。

「懐かしい名前だな」

それを聞いたシンカーは丸顔を(ほころ)ばせた。

「当時は、毎日の更新(こうしん)が重荷で、ニュースサイトなんてやるもんじゃないと思ってましたが、ギルドリーダーに比べればマシでしたね。こっちでも新聞屋をやればよかったですよ」

テーブルの上に(なご)やかな笑い声が流れる。

「それで……《軍》の方はどうなったんですか?」

アスナが訊ねると、シンカーは表情を改めた。

「キバオウと彼の配下は除名しました。もっと速くそうすべきでしたね……。私の争いが苦手な性格のせいで、事態をどんどん悪くしてしまった。軍自体も解散しようと思っています」

アスナとキリトは軽く眼を見張った。

「それは……随分思い切りましたね」

「軍はあまりにも巨大化しすぎてしまいました……。ギルドを消滅させてから、改めてもっと平和的な互助組織を作りますよ。解散だけ
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