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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
ユイの謎
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リトが、腕を馴らしながら戻ってきた。
「やっと終わったか」
「ああ、いいアイテムもかなり出たぜ」
「へえ」
アスナは思わず聞き返した。
「どんなアイテムが出たの?」
「おう」
キリトが手早くウィンドウを操作すると、その表面に、どちゃっという音を立てて赤黒い
肉塊
(
にくかい
)
が出現した。グロテスクなその質感に、アスナは顔を引き
攣
(
つ
)
らせる。
「な……何それ?」
「……《スカベンジトードの肉》だな」
肉塊
(
にくかい
)
をジッと見つめていた俺が、思わず口にした。
「も、もしかして……さっきのカエルの肉?」
「ああ、ゲテモノなほど旨いって言うからな。後で料理してくれよ」
「絶対、嫌!!」
アスナは叫ぶと、自分もウィンドウを開いた。キリトのウィンドウと共通になっているアイテム欄に移動し、《スカベンジトードの肉×24》という文字列をドラッグして容赦なくゴミ箱マークに放り込む。
「あっ!あああぁぁぁ……」
世にも情けない顔で悲痛な声を上げるキリトを見た俺は、アスナに問いかけた。
「なんでそんなに嫌なんだ?日本の歴史によれば、明治初期のカレーにはアカガエルの肉を使っていたが……」
「今の時代のカレーにはアカガエルの肉なんて入ってません!!」
アスナに叫びながら言われるが、結局《スカベンジトードの肉》を捨てた理由は、生理的にも精神的にも嫌いということらしい。
3人のそんなやり取りを見て、我慢できないといった風にユリエールがお腹を押さえ、くっくっと笑いを漏らした。その途端、
「お姉ちゃん、初めて笑った!」
ユイが嬉しそうに叫んだ。彼女も満面の笑身を浮かべている。
それを見て俺は、そういえば、と思い返した。
昨日、ユイが謎の発作を起こしたのも、軍の連中を撃退し、子供達が一斉に笑った直後だった。どうやら少女は周囲の人の笑顔に特別敏感らしいと思われる。それが少女の生来の性格なのか、あるいは自分と同じように、今までずっと辛い思いをしてきたのか。ユイの正体が増々謎に包まれていくようだった。
そんな中、アスナは思わずユイを抱き上げ、ギュッと抱きしめた。いつまでも、この子の隣で笑っていようと心の中で誓う。
「さあ、先に進みましょう!」
アスナの声に、一行は更なる深部に向かって足を踏み出した。
ダンジョンに入ってからしばらくは水中生物型が主だったモンスター群は、階段を降りるほどにゾンビやゴーストといった幽霊系統に変化し、アスナの
心胆
(
しんたん
)
を激しく寒からしめたが、俺の1本の剣は意に介するふうもなく現れる敵を瞬時に
屠
(
ほふ
)
り続けた。
通常では、高レベルプレイヤーが適正以下の狩場で暴れるのはとても褒められた
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