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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
救出依頼
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…」

俺は、顔を少し斜め下に向けた。

「60層のボスモンスターと同等の奴か……」

「あそこのボスは確か……石でできた鎧武者みたいな奴だったな」

ボスの特徴を告げたキリトは、ユリエールに向かってもう一度頷きかける。

「まあ、なんとかなるだろう」

「そうですか、よかった!」

ようやく口元を緩めたユリエールは、何か眩しい物でも見るように眼を細めながら言葉を続けた。

「そうですか……。あなた方3人は、ずっとボス戦を経験してらしてるんですね……。すみません、貴重な時間を()いていただいて……」

「いえ、ネザー君はともかく、わたしとキリト君は休暇中ですから」

アスナは慌てて手を振る。

そんな話をしているうちに、前方の街並みの向こうに黒光りする巨大な建築物が姿を現し始めた。《はじまりの街》最大の施設、《黒鉄宮》だ。正門を入ってすぐの広間にはプレイヤー全員の名簿である《生命の()》が設置され、そこまでは誰でも自由に入れるが、奥に続く敷地(しきち)の大部分は軍が完全に占拠してしまっている。

ユリエールは宮殿の正門にむ向かずに、裏手に回った。高い城壁と、それを取り巻く深い掘が侵入者を拒むべくどこまでも続いている。人通りはまったくない。

数分歩き続けた後、ユリエールが立ち止まったのは、道から掘の水面近くまで階段が降りている場所だった。覗き込むと、階段の先端右側の石壁に暗い通路がぽっかりと口を開けている。

「ここから宮殿の下水道に入り、ダンジョンの入り口を目指します。ちょっと暗くて狭いんですが……」

ユリエールはそこで言葉を切り、気掛かりそうな視線をチラリと腕の中のユイに向けた。するとユイは心外そうに顔を(しか)め、

「ユイ、こわくないよ!」

と主張した。その様子に、アスナは思わず微笑を 漏もらしてしまう。

ユリエールには、ユイのことは「一緒に暮らしてるんです」としか説明していない。彼女もそれ以上のことは聞こうとしなかったのだが、さすがにダンジョンに伴うのは不安なのだろう。

アスナは安心させるように言った。

「大丈夫です、この子、見た目よりずっとしっかりしてますから」

「うむ。きっと将来はいい剣士になる」

キリトの発言に、アスナと眼を見交わして笑うが、俺は「人の未来なんて……わかるもんじゃねぇよ」としか言えない。

ユリエールは大きく頷いた。

「では、行きましょう!」

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