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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
救出依頼
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さんに《血盟騎士団》副団長アスナさんだということを知り、居ても立ってもいられずにこうしてお願いに来た次第です。ネザーさん、キリトさん、アスナさん」

ユリエールは深々と頭を下げ、言った。

「お会いしたばかりで厚顔きわまるとお思いでしょうが、どうか私と一緒にシンカーを救出に行って下さいませんか?」

長い話を終え、口を閉じたユリエールの顔を、アスナはじっと見つめた。

悲しいことだが、SAO内では他人の言う事をそう簡単に信じることはできない。特に俺は、誰よりも人を信じることができない。今回のことにしても、俺とキリトとアスナを圏外におびき出し、危害を加えようとする陰謀である可能性は捨てきれない。通常は、ゲームに対する充分な知識さえあれば騙そうとする人間の話にはどこか(ほころ)びが見つかるものだが、それでも俺はユリエールを簡単には信用できない。《軍》の内情に関して無知であるならなおさらだ。

3人は一瞬眼を見交わして、アスナは重い口を開いた。

「……ユリエールさん、わたし達にできることなら、力を貸して差し上げたいと思いますが、そのためには、こちらで最低限のことを調べてあなたのお話しを裏付けしないと……」

「無理なお願いだということは、私にもわかっています……。でも、黒鉄宮の《生命の碑》にシンカーの名前が、いつ横線が刻まれるかと思うと、もうおかしくなりそうで……」

ユリエールの、気丈そうな瞳が(うる)むのを見て、アスナの気持ちは揺らいだ。信じてあげたい、と痛切に思う。しかし、以前俺がアスナにこう言った。

己の感情や感傷だけで動くのは危険だ。空回りする感情は狂気にもなりうる、と。

その言葉が、動くことの危うさへ大きく警鐘(けいしょう)を鳴らしている。

アスナがキリトに眼を向けると、彼もまた迷っているようだった。次いで俺を見るが、彼の赤い眼は迷いと言うより、困惑の心を映してるようだった。

その時だった。今まで沈黙していたユイが、フッとカップから頭を上げ、言った。

「だいじょうだよ、ママ。その人、うそついてないよ」

アスナは呆気にとられ、まじまじとユイを見つめた。発言の内容もさることながら、昨日までの言葉のたどたどしさが嘘のような立派な日本語である。

「ユ……ユイちゃん、そんなこと、わかるの?」

顔を覗き込むようにして問いかけると、ユイはこくりと頷いた。

「うん。うまく……言えないけど、わかる……」

その言葉を聞いたキリトは右手を伸ばし、ユイの頭をクシャクシャと撫でた。アスナを見て、ニヤッと笑う。

「疑って後悔するよりは信じて後悔しようぜ。行こう、きっと何とかなるさ」

「相変わらずのんきの人ねぇ」

首を振ってそう答えながら、アスナは未だ決断を下せていな
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