暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
救出依頼
[4/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
今の名前になったのは、かつてのサブリーダーで現在の実質敵支配者の《キバオウ》という男が実験を握ってからのことです。最初はギルド《MTD》という名前で……、聞いたことありませんか?」

アスナには聞き覚えがなかったが、俺とキリトが答えた。

「確か、《MMOトゥディ》の略だったな」

「SAO開始当時の、日本最大のネットゲーム総合情報サイトで、そのギルドを結成したのが、そこの管理者だったはずだ。確か名前は……」

「《シンカー》」

その名前を口にした時、ユリエールの顔がわずかに歪んだ。

「彼は、決して今のような、独善的な組織を作ろうとしたわけではないのです。ただ、情報や資源をなるべく多くのプレイヤーで均等に分かち合おうとしただけで……」

その辺りの《軍》の理想と崩壊についてはアスナも伝え聞いていた。多人数でモンスター狩りを行い、危険を極力減らした上で安定した収入を得てそれを均等に分配しようという思想自体は間違っていない。だがMMORPGの本質はプレイヤー間でのリソースの奪い合いであり、それはSAOのような異常かつ極限的状況にあるゲームに於いても変わらなかった。

いや、むしろだからこそ、と言うべきか。

(ゆえ)に、その理想を実現するためには組織の現実的な規模と強力なリーダーシップが必要であり、その点に於いて軍はあまりにも巨大すぎたのだ。得たアイテムの秘匿(ひとく)が横行し、粛清(しゅくせい)、反発が相次ぎ、リーダーは徐々に指導力を失っていった。

「そこに台頭してきたのが、先ほどおっしゃったキバオウでした」

ユリエールは苦々しい口調で言った。

「彼は、シンカーが放任主義なのをいいことに、同調する幹部プレイヤー達と体制の強化を打ち出して、ギルドの名前を《アインクラッド解放軍》に変更させました。更に公認の方針として犯罪者狩りと効率のいいフィールドの独占を推進したのです。それまで、一応は他のギルドとの友好も考え狩場のマナーは守ってきたのですが、数の力で長時間の独占を続けることでギルドの収入を激増し、キバオウ一派の権力はほとんど強力なものとなっていきました。最近ではシンカーはほとんど飾り物状態で……。キバオウ派のプレイヤー達は調子に乗って、街区圏内でも《徴税》と称して恐喝(きょうかつ)まがいな行為すら始めたのです。昨日、ネザーさんが痛めつけたのもその連中の急先鋒(きゅうせんぽう)だった者達です」

ユリエールは一息つくと、サーシャの入れたお茶を飲み、続けた。

「でも、キバオウ派にも弱みがありました。それは、資財の畜積(ちくせき)だけにうつつを抜かして、ゲーム攻略を(ないが)しろし続けたことです。本末転倒(ほんまつてんとう)、というキバオウを批判する声が大きくなりました。その不満を抑えるため、キバ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ