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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
捜索
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だぜ」

「……子供達を返してください」

硬い声でサーシャが言う。

「人聞きの悪いこと言うなって。すぐに返してやるよ、ちょっと社会常識ってもんを教えてやったらな」

「そうそう。市民には納税の義務があるからな」

わははは、と男達が甲高い笑い声を上げた。固く握られたサーシャの拳がブルブルと震える。

「ギン!ケイン!ミナ!そこにいるの!?」

サーシャが男達の向こうに呼びかけると、すぐに怯えきった少女の声が返ってきた。

「先生!先生……助けて!」

「お金なんていいから、全部渡してしまいなさい!」

「先生……ダメなんだ……!」

今度は、絞り出すような少年の声。

「くひひっ」

道を塞ぐ男の1人が、引き攣るような笑いを吐き出した。

「あんたら、随分な税金を滞納してるからなぁ……。金だけじゃ足りないよなぁ」

「そうそう、装備も置いていってもらわないとなぁー。防具も全部……何から何までな」

この《徴税隊》は、3人の子供達に、着衣も全て解除しろと要求しているのだ。かつての、殺人ギルド《ラフィン・コフィン》や犯罪者プレイヤーを思い出させる。

男達の下卑(げび)な笑いを見て、とうとう我慢の限界に達したと思われる俺の中に、殺意と言ってもいい(いきどお)りが芽生え、不意に後ろからサーシャの右肩を掴み、後ろへ下がらせた。

「え、あの……ちょっと、ネザーさん?」

「サーシャ、話すだけ時間の無駄だ。こんな奴ら、痛め付けて無理矢理言うこと聞かせればいい」

サーシャの肩を放し、ジャンプで軍メンバーの頭上を軽々と飛び越え、四方に囲まれた空き地へと降り立った。

「うわっ!!」

その場にいた数人の軍メンバー達が驚愕の表情で飛び退(すさ)る。

空き地の片隅には、10代前半と思しき2人の少年と1人の少女が固まって身を寄せ合っていた。防具は既に解除され、簡素なインナーだけの姿だった。俺は無表情のまま、子供達に歩み寄り、いつもより冷徹な口調で言った。

「見っともないから、さっさと装備を戻せ」

眼を丸くしていた3人はすぐにこくりと頷くと、慌てて足元から防具を拾い上げ、ウィンドウを操作し始めた。

「おい……おいおいおい!!」

その時、ようやく我に返った軍プレイヤーの1人が喚き声を上げた。

「なんだお前は!軍の任務を妨害……!」

その男、リーダーの喚き声が最後まで終えることはなかった。喚き声が上がった瞬時に、俺は眼にも止まらないほどの速さでリーダーの正面に近づき、左足で腹に強烈な(ひざ)()りを喰らわせた。

「ぐはっ!!」

周囲を染める蒼色の膝蹴り。爆発にも似た衝撃音。リーダーの(いか)つい顔が仰け反り、その場に尻餅(しりも
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