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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
捜索
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、十字に円を組み合わせた金属製のアンクが輝いている。間違いなく教会の印だ。各街に最低1つはある施設で、内部の祭壇(さいだん)ではモンスターの特殊攻撃《呪い》の解除や対アンデッドモンスター用に武器の祝福などを行うことができる。魔法の要素がほとんど存在しないSAOにおいて、最も神秘的な場所と言っていい。また、継続的にコルを納めることで教会内の小部屋を借り、宿屋の代わりに使う場合もある。

「あ、ちょっと待って」

教会に向かって歩き出そうとする俺とキリトを、アスナはつい呼び止めた。

「ん、どうした?」

「これからって時になんだ?」

「あ、ううん……。その……もし、あそこでユイちゃんの保護者が見つかったら、ユイちゃんを……置いてくるんだよね?」

キリトの黒い眼が、アスナを(いた)わるように(やわ)らいだ。近寄り、両腕でそっと、眠るユイごとアスナの体を包み込む。

「別れたくないのは俺も一緒さ。何て言うのかな……ユイがいることで、あの森が本当の家になったみたいな……そんな気がしたもんな。でも、会えなくなるわけじゃない。ユイが記憶を取り戻したら、きっとまた訪ねてきてくれるさ」

「ん……。そうだね」

小さく頷くと、アスナは腕の中の言うユイに頬をすり寄せ、意を決して歩き出した。

教会の建物は、街の規模に比べると小さなものだった。2階建てで、シンボルである尖塔も1つしかない。最も《はじまりの街》には複数の教会が存在し、ゲート広場近くのものはちょっとした城館ほどのサイズがある。

俺は正面の大きな2枚扉の前に達すると、右手で片方の扉を押し開け、中へと足を踏み入れる。公共施設なので当然、鍵は掛けらていない。内部は薄暗く、正面の祭壇を飾るロウソクの炎だけが(いし)()きの床を弱々しく照らし出している。一見したところ人の姿はない。

「誰もいないのかな?」

入り口から上半身だけ差し入れたアスナが首を傾げながら言うと、俺が低めた声で否定した。

「いや、人を気配を感じる。右の部屋に3人、左に4人……。2階にも何人かいる」

「……《索敵スキル》って、壁の向こうの人数までわかるの?」

「俺には《索敵スキル》の熟練度なんか関係ない。ただ気配を感じる。それだけだ」

「人間離れすぎじゃないか……」

ようやくキリトもそっと教会内部に足を踏み入れながら言った。シーンとした静寂は周囲を包むが、何となくその中に人が息を潜める気配がある気はしていた。

「あの、すみません、人を探してるんですけど!」

アスナは少し大きな声で呼び掛ける。すると、内部の右側のドアがわずかに開き、その向こうから細い女性の声が響いてきた。

「……《軍》の人じゃ、ないんですか?」

「違います。上の層から来
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