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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
捜索
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吐き出す中、本人はいい加減ウンザリしてきた。

「おい!!」」

大声で叫び、軍を一斉に静粛させる。

「戦う気、あるのか、ないのか……はっきりしろ!」

そう言われて自分達の身の危険を確信した軍プレイヤーの1人が「に、逃げろ!!」と叫び、それに連なって他の軍全員が一斉に南北の通路へ向けて逃げ出した。その場に残った軍プレイヤーは1人もいなかった。

「口先だけのバカどもが……」

剣を腰の鞘に収め、気づけばそこには、絶句して立ち尽くすサーシャと、教会の子供達の姿があった。

「………」

俺は周囲の子供達の様子を見た。先ほどの、殺意に身を任せた荒れようはさぞかし子供達を怯えさせただろう。自分の醜い部分を、見せてしまったのだから。

ところが、子供達の先頭に立つ赤毛で逆毛の少年が、眼を輝かせながら叫んだ。

「すげえ……すっげえよ兄ちゃん!!初めて見たよあんなの!!」

「言っただろ、このお兄ちゃんは無茶苦茶強いって」

ニヤニヤ笑いながらキリトとアスナが進み出てきた。アスナは左手でユイを抱き、キリトは右手に剣を下げている。どうやら数人は彼が相手をしたらしい。しかも俺のことを、無茶苦茶強い、と吹き込んだらしい。

「………」

相手を殺すつもりで剣を抜いたというのに、責められるどころか、むしろ褒められている。眼を丸くする俺に、子供達がわっと歓声を上げて一斉に飛びついてきた。サーシャも両手を胸の前で握り締め、両眼に涙を溜めて泣き笑いのような表情を浮かべている。

その時。

「みんなの……みんなの、こころが……」

細いが、よく通る声が響いた。アスナはハッとして顔を上げた。自分の腕の中で、いつの間にか目覚めたユイが宙に見やったが、そこには何もない。

「みんなの……こころ……が……」

「ユイ!どうしたんだ、ユイ!!」

キリトが叫ぶとユイは2、3度瞬きをして、きょとんとした表情を浮かべた。アスナも慌てて、ユイの手を握る。

「ユイちゃん……何か思い出したの!?」

「……あたし……あたし……」

何かを思い出そうとするかのように顔を(しか)め、唇を噛む。すると、突然。

「うあ……あ……あああ!!」

その顔が仰け反り、細い喉から高い悲鳴が(ほとばし)った。

「………!?」

ザ、ザっという、SAO内では初めて聞くノイズ()みた音がアスナの耳に響いた。直後、ユイの硬直した体のあちこちが、崩壊するように激しく振動した。

「ゆ……ユイちゃん……!」

アスナも悲鳴を上げ、その体を両手で必死に包み込む。

「ママ……こわい……ママ……!!」

(ぼそ)い悲鳴を上げるユイを、アスナはギュッと胸に抱きしめた。数秒後、怪現象は収まり、
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