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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
捜索
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妙に真剣な顔で高い
梢
(
こずえ
)
を見上げている男は、顔を動かさないまま面倒くさそうに口を開いた。
「なんだよ」
「あの……この近くで、尋ね人の窓口になってるような場所、ありませんか?」
その言葉を聞いて、男はようやく視線をアスナに向けてきた。遠慮のない眼つきでアスナの顔をジロジロ眺めまわす。
「なんだ、あんたよそ者か」
「え、ええ。あの……この子の保護者を探してるんですけど……」
背後に立つキリトの腕に抱かれ、ウトウト
微睡
(
まどろ
)
んでいるユイを指し示す。
クラスを察しにくい簡素な布服姿の男は、チラリとユイを見やると多少眼を丸くしたが、すぐにまた視線を頭上の梢へと移した。
「……迷子かよ。珍しいな。……東7区の川べりの教会に、ガキのプレイヤーがいっぱい集まって住んでるから、行ってみな」
「あ、ありがとう」
思いがけず有望そうな情報を得ることができて、アスナはペコリと頭を下げた。物はついでと、更に質問してみることにする。
「あのー……一体、ここで何してるんですか?それに、なんでこんなに人がいないの?」
男は渋面を作りながらも、
満更
(
まんざら
)
でもなさそうな口調で答えた。
「企業秘密だ、と言いたいとこだけどな。よそ者なら、まあいいや……。ほら、見えるだろ?あの高い
枝
(
えだ
)
」
男が伸ばした指の先を、アスナは眼で辿った。大振りな街路樹は張り出した枝々を鮮やかに紅葉させているが、眼を
凝
(
こ
)
らしてみるとその葉影にいくつか、黄色い果実が
生
(
な
)
っているのが見えた。
「もちろん街路樹は破壊不可能オブジェクトだから、登ったって実は
疎
(
おろ
)
か葉っぱのの1枚も千切れないんだけどな」
男の言葉が続く。
「1日に何回か、あの実が落ちるんだよな……。ほんの数分で腐って消えちまうんだけど、それを逃さず拾えば、NPCに結構な値で売れるんだぜ。食ってもうまいしな」
「へええー」
料理スキルをマスターしているアスナは、食材アイテムの話には
一方
(
ひとかた
)
ならぬ興味をがある。
「いくらくらいで売れるの?」
「……1個、5コルだ」
「え……」
男の得意げな顔を見ながら、アスナは思わず絶句した。その値段の、あまりの安さに驚愕したためだ。それでは、丸1日この樹に張り付くひ労力とまるで釣り合わない。
「あ、あの……それじゃあんまり割に合わないっていうか……。フィールドでモンスターの1匹も倒せば、30コルにはなりますよ」
そう言った途端、今度は男が眼を丸くした。頭がおかしいんじゃないのか、という感じの視線をアスナに向けてくる。
「本気で言ってるのかよ。フィールドでモンスターと戦ったりしたら……死んじまうかもしんねえだろうが」
「………」
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