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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
迷子
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「ごめんね、手を貸して」
アスナはユイの右手を取ると、その細い人差し指を移動させ、勘で可視モードボタンがあると思われるあたりをクリックさせた。
狙い
違
(
たが
)
わず、短い効果音と共にウィンドウの表面に見慣れた画面が浮き上がってきた。基本的に他人のステータスを盗み見るのは重大なマナー違反であるので、こういう状況ではあってもアスナは極力画面に眼をやらずにアイテム欄のみを素早く開こうとしたのだが。
「な……なにこれ!?」
画面上部を視線が横切った瞬間、驚きの言葉が口をついて出た。
メニューウィンドウのトップ画面は、基本的に3つのエリアに分けられている。最上部に名前の英語表示と細長いHPバー、EXPバーがあり、その下の右半分に装備フィギュア、左半分にコマンドボタン一覧という配置だ。
アイコン等は無数のサンプルデザインから自由にカスタマイズすることができるが、基本配置は不可変である。だが、ユイのウィンドウの最上部には、《Yui-MHCP001》という奇怪なネーム表示があるだけで、HPバーもEXPバーもレベル表示すら存在していない。
装備フィギュアはあるものの、コマンドボタンは通常と比べて大幅に少なく、わずかに《アイテム》と《オプション》のそれが存在するだけ。
アスナの動きが止まったことを
訝
(
いぶか
)
しむように近づいてきたキリトも、ウィンドウを覗き込むなり息を呑んだ。ユイ本人はウィンドウの異常など意に
介
(
かい
)
せぬ風で、不思議そうな顔で2人を見上げている。
「これも……システムのバグなのかな?」
アスナが呟くと、キリトは喉の奥で低く唸った。
「なんだか……バグというよりは、元々こういうデザインになってるようにも見えるけどな……。ネザーは?見た感じどう思う?」
キリトはユイの表示したウィンドウに意識を集中させていた俺に問うが、「さあな」と短い単語だけを残した。
だが実は、俺には心当たりがあった。
《Yui-MHCP001》という名前には見覚えがある。以前、《茅場》の助手としてSAO開発に
携
(
たずさ
)
わっていた頃、その名前を一度だけ眼にしたことがある。あの時はソースコードの一部文字だと思ったが、どうやら違ったようだ。
SAO開発時に見覚えのあるものなら、この少女はNPCに近い存在としか思えない。キリトとアスナが見つけた時にクエストもイベントも何も発生していない時点で違うとはっきりわかったが、このまま彼らと行動を共にしてもっとユイに関する明確な情報を探るしかない。
「くそ、今日くらいGMがいないのを
歯
(
は
)
痒
(
がゆ
)
いと思ったことはないぜ」
キリトは悔しそうに唸る。
「普通はSAOってバグどころかラグることもほとんどないから、GMなんて気にしたことなかったけどね……。
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