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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
朝露の少女
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たしもそう思う。こんな小さな子が1人でログインするなんて考えられないもん。家族が誰か一緒に来てるはずだよね。……無事だと、いいんだけど」
最後の言葉は口の中に飲み込むようにして、アスナは俺とキリトに顔を向けた。
「ね、意識、戻るよね?」
「ああ。まだ消えてないってことは、ナーヴギアとの間に信号のやり取りはあるんだ。睡眠状態に近いと思う。だから、きっとその内、眼を覚ます……はずだよ」
しっかり頷きながらも、キリトの言葉は願望の色があった。
アスナは立ち上がり、少女の眠るベッドの前に
跪
(
ひざまず
)
き、右手を伸ばした。そっと少女の頭を撫でる。
俺は怪しむ目付きで少女の顔をジッと眺めていた。見た目は美しい少女だが、どこか
歪
(
いびつ
)
なものを感じる。ある意味、ヴァーミンと
類似
(
るいじ
)
の存在に思えた。
キリトがメッセージで送った幽霊の噂話を知った時から、ずっと考えていた。
幽霊__すなわち今ベッドで横になっている少女を、最初は義体したヴァーミンだと思った。しかし、この子からは何も感じない。人間の子供というよりは、むしろ妖精のような気配を
漂
(
ただ
)
よわせている。肌の色はアラバスターのようなきめ細かい純白。長い黒髪は
艶
(
つや
)
やかに光り、どこか異国風のくっきりとした顔立ちは、眼を開けて笑ったらさぞ魅力的だろうと思わせる。
キリトもアスナも横に歩み寄り、腰を落とした。恐る恐る右手を伸ばし、少女の髪に触れる。
「10歳はいってないよな……。8歳くらいかな」
「それくらいだね……。わたしは見た中ではダントツで最年少プレイヤーだよ」
「そうだな。俺も前にビーストテイマーの《シリカ》って女の子と知り合ったけど、それでも13歳くらいだったからなぁ」
初めて聞く話に、アスナは思わずキリトの顔を見やってしまう。
「ふうん、そんな可愛いお友達がいたんだ」
「ああ、たまにメールのやり取りを……い、いや、それだけで、何もないぞ!」
「どうだか。キリト君鈍いから」
つん、と顔を逸らす
風向きがおかしくなりつつあるのを察したように、キリトは立ち上がると、言った。
「今日はもう遅いし、寝ようぜ」
「……そうだね」
ひと睨みしてからアスナは、この場は
放免
(
ほうめん
)
してあげることにしてニコリと笑い、キリトの言葉に同意した。
「……俺は帰らせてもらうぞ」
ベットから腰を上げ、俺は第50層《アルゲート》にある自分の宿屋に帰ろうとした。
「ここに泊まっていけばどうだ?」
俺は背を向けたまま答えた。
「居心地の悪い家にいたくない。だが、その子の正体は知りたいから、明日の朝にまた来る」
きっぱりと早口で言い終え、足をササッと動かし家から出て行った。
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