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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
朝露の少女
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切れた機械人形のような、妙に非生物的な動きでその体が地面に崩れ落ちた。どさり、というかすかな音が耳に届いてくる。
「あれは……」
その途端、俺は鋭く両眼を細めた。
「幽霊でもモンスターでもない」
声を出すや
否
(
いな
)
や走り出す。
「ちょ、ちょっと、ネザー君!」
「おい、ネザー!」
置き去りにされたキリトとアスナは慌てて呼び止めたが、俺は振り向きもせずに倒れた少女へと駆け寄っていき、キリトは後に続いて先走っていく。
「もう!!」
やむなくアスナも立ち上がり、後を追った。まだ心臓がドキドキ言っているが、気絶して倒れる幽霊など聞いた事もない。となれば、あれはプレイヤーとしか思えない。
遅れること数秒、
針葉樹
(
しんようじゅ
)
の下に到達すると、すでに少女はキリトに抱え起こされていた。まだ意識は戻っていない。長い
睫毛
(
まつげ
)
に緑どられた
瞼
(
まぶた
)
は閉じられ、両腕は力なく体の脇に投げ出されている。
「だ、大丈夫そうなの?」
「うーん……」
キリトは少女の顔を覗き込みながら言った。
「この世界では息もしない。心臓も動かない。見るだけ無駄だ」
俺の言葉は確かだった。
SAO内では、人間の生理的活動のほとんどは再現が省略されている。自発的に息を吸い込むことはできるし、気道を空気が動く感覚もあるが、
仮想体
(
アバター
)
自体は無意識呼吸を行わない。心臓の鼓動も、緊張したり興奮してドキドキするという体感はあるものの他人のそれを感じ取ることはできない。
「でもまあ、消減してないってことは、生きてるってことだよな。しかしこれは……相当妙だぞ」
言葉を切り、俺が後に続く。
「確かに妙だな」
「妙って?」
「幽霊でもないのに、ああやって触れる。だが、カーソルが出ない」
「あ……」
アスナは改めて少女の体に視線を集中させた。だが、通常アインクラッドに存在する動的オブジェクトならプレイヤーにせよモンスターにせよ、あるいはNPCにせよターゲットした瞬間、必ず表示されるはずのカラー・カーソルが出現しない。
「何かの、バグ、かな?」
「どうかな?普通のネットゲームならGMを呼ぶというケースだが、SAOにそんなものはない」
「それにこの子、プレイヤーにしては若すぎるよ」
確かにそうだ。キリトの両脇に抱えられたその体はあまりにも小さい。年齢で言えば10歳にも満たないだろう。ナーヴギアには健前的ながら装着に年齢制度があり、確か13歳以下の子供の使用は禁じられていた。
アスナはそっと手を伸ばし、少女の額に触れた。ひんやりとした滑らかな感触が伝わってくる。
「どうして……こんな小さな子が、SAOの中に……」
キュッと唇を噛み、立ち上
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