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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
朝露の少女
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「システム的には不可能じゃない気がするけどなぁ……」

「……ん?」

キリトの肩に乗ったまま体を伸ばしたアスナが、自分の一番近くにあった1本の樹の天辺(てっぺん)を見た時、樹の(えだ)に両足で立つ1つの人影が眼に映った。

「キリト君、あれ!」

すぐさま顔を下に向け、キリトと視線を合わせて人差し指を上に向ける。つられるようにキリトは視線を樹の天辺に移すと、先ほどアスナが見た人影がまだ枝に立っていた。

木の葉の影に覆われていてよく見えないが、正体を現すように枝から飛び降り、こちらに向けて落下してくる。

2人は落下してくる人影に、視線を外さないよう見とれながら地面に到達するのを待った。

やがてストンという綺麗な音を立てながら地面に両足と両手を付け、しゃがみ込むような体制でアスナを肩車したキリトの前に着地した人影は、ゆっくりと体を起こしながらキリトと視線を合わせた。

「……マジかよ?」

少々呆然としたキリトだったが、人影の正体を見て変わった。

頭に被ったフードとロングコートの裾が風に(なび)き、両腕に金属プレート付きの籠手(こて)を装着し、顔に平行に並ぶ大きな2つの傷痕を持った片手剣使い。いつも通りの恰好で2人の前に現れた傷痕剣士のご登場だった。

「随分と派手な登場だな、ネザー」

「登場に派手も地味もあるか」

否定しがちな口を返した俺を見ても、キリトはニコリと笑顔を向けたままだった。

今の現状を見た俺は、生まれた1つの疑問をキリトに問いかけた。

「で、お前はなんでアスナを肩車している?」

「あ、ああ、えっとこれは……その……」

「え、えっと……」

アスナとキリトは戸惑いながらもどうにか状況を説明しようとするが、面倒になって言った。

「答えなくても結構」

どうでもよくなり、改まって周囲を見回しながら幽霊の噂に関する情報を(たず)ねた。

「それで、幽霊が出現する場所はどこだ?」

「ええと……」

キリトは手を振り、マップで現在位置を確認する。

「あ、そろそろだよ。もうあと何分かで着く」

「そうか」

「そういえば……その噂って、具体的には、どんな話なの?」

聞きたくないが、聞かないのも不安で、アスナは問い掛けた。

「ええと、1週間くらい前、木工職人プレイヤーがこの辺に丸太を拾いに来たんだそうだ。この森で採取できる木材は質がいいらしくて、夢中で集めてるうちに夜になっちゃって……。慌てて帰ろうと歩き始めたところで、ちょっと離れた木の陰にチラリと、白いものが」

「…………」

アスナ的にはそこでもう限界だった。

「モンスターかと思って慌てたけど、どうやらそうじゃない。人間、小さな女の子に見えた
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