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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
朝露の少女
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…幽霊」

しばし絶句してから、恐る恐る確認する。

「……それって、アストラル系のモンスターってこと?」

「いいや、本物さ。プレイヤー……人間の、幽霊。女の子だとさ」

「う……」

アスナは思わず顔を引きつらせてしまう。その手の話は、人並み以上に苦手な自信がある。ホラー系フロアとして名高い65、66層辺りの迷宮区は、あれこれ理由をつけて攻略をサボったきたほどだ。

「だ、だって、ここはゲームのデジダル世界だよ。そんな……幽霊なんて、出るわけないじゃない」

無理矢理笑顔を作りながら、ややムキになって抗弁する。

「それはどうかな?」

だが、お化けがアスナの弱点と知っているキリトは、いかにも楽しそうに追い打ちをかけてきた。

「例えばさぁ……。恨みを残して死んだプレイヤーの霊が、電源入りっぱなしのナーブギアに取り付いて……夜な夜なフィールドを彷徨(さまよ)ってるとか……」

「やめてーーーっ!!」

「ははは、悪かった。今のは不謹慎(ふきんしん)な冗談だったな。まあ俺も本当に幽霊が出るとは思っちゃいないけど、どうせ行くなら何か起きそうなところがいいじゃないか」

「うう……」

「大丈夫だよ。それに……」

「それに?」

キリトは意外な発言を最後の一言として放った。

「さっきネザーにも、幽霊についての情報をメッセージで飛ばしたんだ。そしたらあいつ、こっちに来るって答えたんだ」

「ネザー君が?」

驚くのも当然だった。

普段のネザーに申し入れをしても、彼は素直に受け入れることはなかったが、自分が興味を抱いていることに関しては受け入れていた。噂の幽霊に興味を抱いているということだというのは容易に理解できた。《圏内殺人》事件に首を突っ込んだ時と同じような展開だ。

驚きながらもアスナは唇を(とが)らせながら、窓の外に眼を向けた。

冬も間近なこの季節にしてはいい天気だ。ポカポカと暖かそうな陽光が庭に芝生(しばふ)に降り注いでいる。幽霊が出るには最も適さない時間、に思える。アインクラッドではその構造上、早朝と夕方を除いて太陽を直接見ることはできないが、しかし日中は充分な面光源ライティングによってフィールドは明るく照らされている。

アスナはキリトに向き直り、ツンと(あご)を反らせながら言った。

「いいわよ。行きましょう。幽霊なんていないってことを証明しに」

「よし決まった。今日会えなかったら、今度は夜中に行こうな」

「ぜ、絶対嫌よ!!……そんな意地悪言う人にはお弁当作ってあげない」

「げげ、なしなし、今のなし」

キリトに最後のひと睨みを浴びせてから、アスナはにこりと笑った。

「さ、準備を済ませちゃおう。わたしはお魚焼くから
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