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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
朝露の少女
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ダにコーヒーの朝食を終え、2秒でテーブルを片付けると、アスナは両手をパチンと打ち合わせた。
「さて!今日はどこに遊びに行こっか」
「お前なあ」
キリトが苦笑いをする。
「身も
蓋
(
ふた
)
もない言い方するなよ」
「だって毎日楽しいんだもん」
アスナにとっては偽らざる本音だ。
振り返るのすらも苦痛な記憶だが、SAOの囚人となってからキリトに恋するまでの1年半、アスナの心は硬く凍りついていた。例えるなら、ネザーと同じタイプの人間だったのだ。
心に壁を作って、感情を表に出さないネザーは、本当に冷たい男だ。いつも寝る間を
惜
(
お
)
しんでスキル・レベルを鍛え上げ、名の通るプレイヤーへと成長していき、ますます遠い存在に思えるようになった。
以前のアスナも、攻略ギルド《血盟騎士団》のサブリーダーに
抜擢
(
ばってき
)
されてからは、時としてメンバーが音を上げるほどのハイペースで迷宮に潜り続けた。心にあるのはただのゲームクリア、そして脱出だけで、それに資する活動以外の全てを無意味と断じていた。
今はキリトとの出会いによって穏やかになったアスナだが、冷徹なネザーは相変わらず寝る間を惜しんで自分のスキル・レベルの育成に取り組み続けている。
そう考えるとアスナは、なぜもっと速くキリトと巡り会うことができなかったのかと悔やまずにいられない。彼と出会ってからの日々は、現実世界での生活以上に色彩と驚きに溢れたものだった。彼と共になら、ここでの時間も得がたい経験と思えた。
だからアスナには、今ようやく手に入れた2人だけの時間、その1秒1秒が貴重な宝石のように思えるのだ。もっと2人で色々な場所に行き、色々なことを話したい。
アスナは両手を腰に当てて唇を尖らせて言った。
「じゃあキリト君は遊びに行きたくないの?」
するとキリトはニヤリと笑い、左手を振ってマップを呼び出した。可視モードになっているマップをアスナに示す。この層の森と湖の重なりが表示されている。
「ここなんだけどな」
指差したのは、2人の家から少し離れた森の一角だった。
22層は低層フロアゆえに面積がかなり広い。直径で言えば8キロメートル強ほどもある。その中央には巨大な湖があり、南岸に主街区である《コラル》の村。北岸に迷宮区。それ以外の場所は全て
針葉樹
(
しんようじゅ
)
の美しい森となっている。アスナとキリトの小さな家はフロアのほぼ南端、外周部間近の場所にあり、今キリトが示しているのは家から北東へ2キロメートルほど進んだ場所である。
「昨日、村で聞いた噂なんだけどな……。この辺の、森が深くなってる所……。出るんだってさ」
「は?」
意味深な笑みを浮かべるキリトに、アスナはきょとんと訊き返した。
「何が?」
「…
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