第十話「少女が見た青い雷光」
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とある日の事、シャルロットの実父と正妻の帰る日が決まり、毎日のようにユーマの元へ会いに行けなくなった。そして、風のように過ぎ去った一カ月の思い出と引き換えに、ふたたび地獄のような日々が始まるのだ。
そして、シャルロットはユーマにあまり寂しい思いをさせないように彼をデートに誘った。
「ねぇ? もし、この後予定とかないなら……だけど?」
「……?」
「その……お茶、でもどう?」
「え?」
「もっと、ユーマとお話ししたいなって思って……」
しかし、ユーマはなんとなく興味のなさろうな態度をとった。
「ユーマ、楽しんでいきなさい?」
と、後ろから 神父が歩み寄ってシャルロットをフォローした。
「オッちゃん……」
「どうせ、一日中お昼寝する以外は退屈でしょうし、たまには息抜きをなさいな?」
「そうだな〜……いいよ! 行こうぜ?」
「ほ、本当!? なら行こう? 私、とっておきのお店とか知ってるから!!」
シャルロットは、はしゃぎながらユーマの手を引いて教会から飛び出した。そんな、二人の背を見て、神父は微笑ましく手を振った。
*
花の都パリ、そこは女尊男卑の風習が強く根付く区域でもあるが「花の都」の名にふさわしい美しい町並みであった。
行きかう人々は今日も賑わい、そんなひとだかりの中を二人の男女の姿が見えた。笑顔で少女が、青年の手を引いている。観光もかねて、少女ことシャルロットは青年のユーマにこの近辺の至る所へ連れて行った。
これまで、施設で生まれ、施設で育ったユーマにとって、外の光景で目に映る物は皆新鮮な斧で会った。全てが発見で冒険であったのだ。気になったものは次々シャルロットへ問い続ける。観光名所や芸能人の名前、ファッションや乗り物など……
「……なぁ? シャルロット」
「なに?」
喫茶店で休憩中、ユーマはフランスと知ってふと気づいたことを彼女に問う。
「フランスって……カタツムリ食うんだろ?」
「カタツムリ……エスカルゴのこと?」
「そう、それだ! ……うまい、のか?」
ずっと、施設の中で暮らしていたユーマにとって外の食文化にも興味があった。そして、カタツムリを料理にするフランスの食文化には好奇心を抱いていたのである。
「ああ〜……私は、あまり食べないかな? 貝料理の一種だけど、カタツムリの見た目とか苦手だから、私はちょっと……ね? 貝類だったらホタテとかカキとかが好きかな?」
「で、味は?」
「う〜ん……小さい頃に少しだけしか食べたことないから、忘れちゃったね?」
「そうなんだ……あ、それ以外にもフランスって、菓子でも有名だよな?」
「うん、私もお菓子は大好きだからその辺は詳しいよ?」
「そうなんだ〜俺、マドレーヌとか食ってみたいんだ」
「じゃあ今から食べに行こうよ! 私、とっておきのお店を知ってるの」
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