第十話「少女が見た青い雷光」
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て駆け寄ると青年の体をそっと起こして、肩の傷を見た。酷いやけどのような傷口である。ずっと、手で押さえつけていたのか、その手も血まみれだった。
「大変……!」
「う、うぅ……」
唸る青年にシャルロットは問う。
「大丈夫ですか!? しっかりしてください!!」
「う、あぁ……」
青年は、その弱った目で彼女を見た。
「とりあえず、私の肩に掴まって……!」
青年の片腕を背負って、シャルロットは裏路地から出た。病院へ搬送させようにもそのための救急車には種類があった。
今のご時世、救急車には「女性用」と「男性用」の二種類がある。そのため、男性用の車に女性を搬送させるのはそれほど騒がれないが、女性の救急車に男性を乗せるとかなり訴えられてしまう。よって、女性の救急車には男性のケガ人をのせることができないのである。また、最悪なことにこの区間の大半は女性用の救急車しか配備されていなかったのだ。
「……!」
息を荒くして、自分よりも背が高く、大きい青年を背負ってシャルロットが向った場所は、先ほどの教会で会った。
*
「出来る限りの手当は致しました……あとは、彼が目を覚ましてくれるのを待つばかりです」
ベッドに寝かされた青年を目にシャルロットは一安心した。
「ありがとうございます! 神父様……」
「いえ、貴方もよくぞここまで運んできてくださいました」
「そんな……当然のことをしただけです」
「後は私が、彼の看病をしましょう……もう夕暮れ時ですしあなたも早く帰られたほうがいい」
「はい……あの、神父さま」
「何ですかな?」
シャルロットは、ふとベッドの上で眠る青年をもう一度見ながら言った。
「……明日も、お伺いしてもよろしいですか? 昼間の空いた時間なら」
「ええ、いつ来られて構いませんよ? この青年のことが気になるのですね?」
ニッコリと微笑む神父に、シャルロットは少し顔を赤くした。
シャルロットにとっては、今までジョルジュ一筋であったが、青年を助けてここまで運んだ経緯からして、勝手ながらも運命的な展開を考えてしまっているのだ。まだ、目が覚めた青年と顔を合わせていないにせよ、今この時でさえ何やらロマンチックな感じでほんの少し、妄想気味なものを抱いている。
教会を後にして、自宅へ戻ったシャルロットだが、幸いにも保護者的な立場にある父親と正妻は不機嫌ではなかった
そして、後から彼女は父に呼び出された。また、レベルを上げたISの訓練だろうか?
しかし、父親から言われたことは意外な内容であった。
「……え? 旅行へ行くんですか?」
「ああ、ライナ(正妻)と一緒に旅行へ行くから一カ月間留守にする。それまで長期の休暇として、好きにするがいい……」
「……」
そんな、父親の冷たい口調ながらも幸運な知らせにシャルロットは心より喜んだ。も
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