第十話「少女が見た青い雷光」
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、『女尊男卑』のせいで、これ以上他の人たち、とくに差別に苦しむ男性たちが、自分と同じように苦しむ姿を見るのは嫌なんです……」
「そうでしたか……」
神父はテーブルから発つと、イエスキリストの十字架を見上げて両腕を広げた。
「神は……この世に最初の人、『アダム』と『イヴ』を生み出した。最初の『男』と『女』である。異性を持ち二人は互いに愛し合い、そして彼らの間に芽生えた新たな生命が次々に誕生し、そして今この世界が作られていった。しかし、現在、男女異性の歯車は次第に軋みだし、ISと呼ばれる『堕天使』の襲来によって世界は終焉を迎えようとしている……」
そう言い終えると、神父は再びシャルロットのほうへ振り返った。
「男と女はともに手を取り合い生きていかなくてはならぬ存在です。それに叛く行為は
神に叛く大いなる大罪であります。神よ、この罪深き現世の我々をお許しください……」
「……」
シャルロットは、そんな十字架を組む神父の言葉を重く受け止めた。
その後、シャルロットは教会を出て再び街路を歩いた。彼女が今日の休日を利用して外出した理由は、ファイト以外にもパリ市内の有名なスイーツ店に行く為が理由だ。先ほど神父の焼いたクッキーを食べて、少し腹が膨れてしまったが、目当てのスイーツだけは全くの別腹である。
「ねぇ、聞いた? 昨日の夜この辺の上空でMS同士の戦闘があったんだって?」
「マジ!? ISは何してんのよ!?」
「なんでも、凄いスピードで戦ってたらしいよ? ISの部隊が来たころには、もう戦闘が終わってたって?」
「嘘よ! MSなんかよりISのほうがスピードが上に決まってるじゃない!?」
「あくまでも噂よ……」
「……?」
スイーツを堪能中、近くの席でそう話している女性らの噂を小耳にはさんだ。最近では、ジオンのMSが領空侵犯を犯してフランスの上空を飛行するというニュースを見たことがある。ヨーロッパの権勢など気にも留めず、いまだフランスの空を飛び交っているのだそうだ。
シャルロットは、スイーツ店で目当ての物を食べ終えると、引き続き街路に戻って散歩に入った。夕日が暮れるまで街をぶらりと散策するのが今後の予定である。
だが、とある路地を歩いていたときのこと。
「……?」
上空を、ある一線の蒼い光が紺碧の中を滑空する姿で見えた。青い光は、じょじょに降下し、近くのあたりへスッと降りて消えていった。まるで青い雷光である。
「何だろう……アレ!?」
好奇心からか、シャルロットは足を速めて青い光が落下したとみられる裏路地へと足を踏み入れた。
「このあたりと思うんだけど……」
そのとき、ふと裏路地の彼方に一人、蹲る青年の姿が見えた。地面に蹲り苦しんでいる。青年は、肩を負傷していたのだった。
「だ、大丈夫ですか!?」
シャルロットは、慌て
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