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ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第94話 魔人ノスの主
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える。
 暗雲立ち込めるのは間違いなくヘルマン側だった。……無論 魔人は除いてだが。



〜リーザス城〜


 戻ってきた伝令兵の信じられない一言に、王座を蹴立てて体が勝手に立ち上がってしまっているのはパットンだ。

「な、んだと、っ………!?」

 その報告に我が耳を疑い兼ねない。それ程衝撃的なものだったから。

「は……い、今一度 申し上げます……。トーマ・リプトン将軍が ノースにて……完全敗北を決したとの事。……生死は不明ですが トーマ将軍が率いた部隊は誰一人として 帰還しておりません。……生存は絶望的かと………っ」

 それは報告をしている兵士とて同じ気持ちだった。
 ヘルマンの武の象徴とも言っていい人類最強と名高いトーマ・リプトンが敗北したとの報せ。それも ただの敗戦ではない。完膚なきまでに敗北を喫し 帰還さえしていないというのだ。戦術的撤退と言うものであれば まだ希望が見えるのだが……。

「………………」

 トーマの隣で報告を訊いていたハンティも表情を重く、そして険しくさせていた。
 トーマの相手は間違いなくユーリである事は察していた。……男の死場として 次世代の力との一騎打ちを願い戦場に立ったトーマ。その戦いに無粋な真似をしたくないと思っていたハンティ。そして何よりトーマとはっきりと別れた。だから戦いの場にはハンティはいなかった。
 いなかったからこそ、真相は判らない。トーマが負けたというのは判るが生きているのか、死んでいるのかが判らなかった。ユーリが相手だから負ける事も有り得るかもしれない。だけど、トーマの死だけは ハンティも信じたくなかった。

 そして パットンの衝撃はまだ体の髄にまで響いている。

「ば、ばか……な。いや、馬鹿をぬかすな!! あの、あのトーマを いったい誰が倒しうるというのだ!」
「し、しかし……将軍が その部隊が帰還せぬ事事態が異常な状況かと……。伝令1つなく姿を完全に消しています。今までそのような事は一度も……」
「………あ、あのトーマが、負けた……? 斬り合いで 命を……??」

 その報告は、トーマが死んだとパットンの頭に入れるのには十分過ぎた。
 パットンも認めたくなかった様だ。自分自身の師であり 決して負けぬと信じていた最強の将軍だったから。
 その上笑う膝が身体の重みに耐えかね、玉座に沈み込んだ。

「……それで、北部の状況は?」
「は……。白の軍と青の軍に完全に鎮圧されました。双璧の将を抑えれる戦力もなく……ですが、わずかな生き残りはこちら戻ってきています」
「そっか………」

 ハンティが再び深く息を吸い込んだその時だ。

「も、申し上げます!」

 再び伝令兵が入ってきた。
 パットンには嫌な予感しかしなかっ
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